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彼女はくノ一! 第五話 (78)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(78)

 その日の昼間の時点では、たまたま美容院の前を通りかかって撮影現場を見かけた人たち以外の口に昇ることもなく、従ってモデルたちも無駄に注目を浴びることもなく、いつも通り平穏な学生生活を過ごすことができた。
 そして、学生として平和に午前中の授業を受け、給食も食べ終えた楓と茅は示し合わして、パソコン実習室に向かう。
 特に待ち合わせなどの約束があったわけではなかったが、昨日はパソコン部の部員たちに宿題を与えるだけ与えて放課後には顔を出さなかった形ではあるし、放送部のブログのほうもチェックしておきたかった。
 昨夜は遅くまで撮影に付き合った関係で、楓も茅も、帰宅後、ネットをチェックする余裕がないまま、就寝している。
 そして、学校内で一番自然にネットに接続できる場所が実習室であり、そこの接続環境をセキュリティ的により強固なものにしたのは、ほかならぬ楓自身だった。当然のことながら、楓は、学校のシステムの管理権限を握っている。

 楓と茅が実習室に入ると、すでにパソコン部の部員たちが数人、集まっていた。楓と茅が入ったのに気づくと、手招きしてパソコンの前に座っていた生徒が立ち上がり、
「ささ。どうぞこちらに……」
 と、二人に座るように勧めた。
「……昨日、ネット書店から本が届いていたけど……」
 パソコンの前に座りながら、茅がいう。
「昨日は、遅くまで用事があったから、まだ読んでいないの……。
 だから、持って来るのは、明日以降になるの」
「いえいえ。いいんです、いいんです……そんなもの、いつでも……」
 その場にいたパソコン部員たちは、そんなことをいって、その場でかぶりをふった。
「……どうぞ、ごゆっくり。
 今のままでも、十分に勉強になりますから……」
 昨日の放課後、茅が作成した部分のコードを点検したパソコン部員たちは、揉み手でもしかねない勢いで頷きあう。
 明らかに畏敬の念を込めて茅のことを見つめている部員も、何人かいた。
「……昨日、帰るのが遅かったから、少し使わせて欲しいの」
 茅がそういって学校の備品であるパソコンを指さす。もちろん、パソコン部員たちは快諾した。
「あ。
 じゃあ、ついでに、昨日、ぼくたちがやった部分も、ついでにチェックしてもらえば……」
 ある部員が、緊張して裏返りかかった声でそういうと、茅は、コクリ、と、頷いた。

 楓は、茅と他のパソコン部員たちがそんなやりとりをしている間に、さっさとブラウザを立ち上げて、昨日、斎藤遥が立ち上げたばかりのブログをチェックする。
 昨日の今日だというのに、エントリー数はすでに五十を越えていて、ずらずずらと放置ゴミの写真と番地を含んだ記事が並んでいる。要するにゴミの写真だから、決して見目よいものではないのだが、これだけ並んでいるとある種の迫力を生じる。
 それに、たかだか一日、それも、この寒空の下に取材に走り回っていた放送部員たちの士気の高さが、十分に伺えた。
「……あ。来てる来てる……」
 ブログのセッティングをした、当の斎藤遥が、いつの間にか背後にいて、楓がみている画面を覗き込んでいた。
「放送部のやつらも、フットワークはいいよね。一日でこれだけの情報を集めるなんて……。
 今、考えているのはねぇ……こうして集まった情報を、地図と連動させるとか……あと、有働さんは、もう少しデータが集まったら、地主さんにインタビューしたり、このゴミを処理するとすれば、どれくらいのお金がかかるのか、業者さんに見積もりを出してもらったりする、って、いってた……」

 斎藤遥と楓がそんなことを話している横では、茅が、パソコン部員たちの書いたコードをチェックし、間違いを指摘し、解説を交えてそれを修正したりしていた。
 斎藤遥との話しが一段落すると、楓も茅にならって、一つ一つ解説しながら、コード上のバグをとっていく。
 結局、今、ここに来ているパソコン部員たちは、技術の習得に熱心なグループなのだろう。茅や楓の説明を聞きながら、頷いたりメモを取ったりしていた。
 こうして、二班に分かれての勉強会が、昼休みを利用して突発的にはじまった形だったが、いくらもしないうちに予鈴がなって、解散しなければならなかった。
 教室に帰る間際に、茅が、
「……今日の放課後にも、顔を出すの……」
 と宣言すると、「助かります」という声が散発的に聞こえてきた。

 楓たちが教室に戻ると、ちょうど教室から出てきた有働勇作、玉木珠美、それに堺雅史と遭遇した。このうち、同じ学年で別のクラスの堺雅史は、柏あんなか香也に用事があってこのクラスに足を運ぶことは珍しくはない。が、二年の有働と玉木が、わざわざ昼休みに出向いて来るのは、珍しいことといえた。
「……なにか、用ですか?」
 楓は、少し警戒しながら、二年の二人に声をかけた。最近は協調して動くことが多くなっているとはいえ、放送部には、それなりにひどい目にあっている。
「……ああっと……」
 楓の視線の強さに負け、玉木が思わず、目をそらす。
「狩野君と、打ち合わせに来ただけです……」
 有働の方は、落ち着いた対応をしてくれた。
「例のゴミ関係で、今週末あたり、主要な溜まり場に香也君を案内しようと思いまして、その約束をもらいに……」
 早口でそう説明すると、
「……午後の授業がはじまるので、これで……」
 と頭を下げて去っていく。

「……今、有働さんとすれ違いましたけど……」
 教室に入ると、楓はさっそく香也の席まで出向いていって、確認する。
「……んー……。
 明日、スケッチする現場に、連れていってもらえるって……」
 香也がそういって有働の言葉を裏付けると、すぐに、五時限目の授業を担当する教師が入って来たので、楓はあわてて自分の席についた。

「ねー……テン。
 これ、長すぎない?」
 ノリは、テンが新しくあつらえてくれた六節棍をふってみて、率直に思うところを述べてみた。
 楓たちが午後の授業を受けている頃、三人は徳川篤朗の工場に来て、出来上がったばかりの新しい六節棍を試していた。
「今はね。
 でも、今のノリの背の伸び方、異常に早いから、すぐにピッタリのサイズになるよ……」
 テンは、そう解説する。
「こっちは……長さは変わらないけど、前よりも重くなった……」
 ガクは、一本の棒状にした六節棍を、ブンブンブン、と、振り回して見せる。
「前にも言ったとおり、両端の部分を、チタンに変えてみた。
 重くなった分、芯材を入れたりして、全体の強度も増している。
 ガクの力を完全に受け止めるほどではないけど、それでも遠心力で壊れるほどヤワでもないから、前のよりは遠慮せずに振り回せると思うよ……。
 ガクが全力をだしても壊れないようなのを作ることも考えたんだけど……それ、作ると、どうしても重くなりすぎて、取り回しに苦労することになる……」
 持ち上げたり、取り扱うための筋力には、三人は不自由していない。問題なのは、三人と、三人が扱う武器との質量比で……あまり重くし過ぎると、振り回せば、三人自身の体が泳ぐことになる。力が強くても、慣性や遠心力を打ち消せるわけではない。
 だから、動きに制限をつけないためには、振り回す武器の重量は、おのずと上限が決まって来る。
「うん。そんな感じがする」
 ガクはテンの言葉に頷きながら、振り回している棍の重みを確かめる。
「前のよりは、ずっとずっしりとくるから……なんか、頼りになる感じだ……」
 そういって、ガクは、近くに立て掛けてあった鉄筋の廃材に向け、棍の先端を一閃する。
 一拍間をおいて、ずずず、と、鉄筋の上部が滑り出し、斜めに切れ目が入っていたことが確認できた。
 ガクによって力任せに切断された廃材は、少し時間をかけて滑り落ち、重い音をたてて地面に落下する。
「……うん。前のよりは、ずっと、丈夫だ……」
 ガクは、チタン製の先端部を指で触りながら、ことなげに、そう言い放つ。
 ノリとテンも、そうしたガクの離れ業を目の当たりにしても、とりたてて驚いている様子がない。適切な道具さえ与えれば、ガクなら、その程度のことは、やすやすとやってみせるであろということを、二人とも、よく知っているのだ。

[つづき]
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