2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「髪長姫は最後に笑う。」 第五章(121)

第五章 「友と敵」(121)

 この間見た時は、その「イベント情報」のバナーの先には、孫子の写真が掲載されているのを除けば、あとはイベントの概要が事務的な素っ気ない文章で記載されているだけだった。
 しかし、今荒野が見ているページは、かなり内容が豊富になっている。
 まず、孫子の写真の上にカーソルを置くと、写真の脇に、カーソルが置かれた部分のアイテムの写真と値段、素材などが浮き出す。そこでクリックすると、通販の申し込みフォームのページに移動するのだった。
 昨日のタイアップ企業がどうとかとかいってたのは、こういうことも含まれていたらしい……と、荒野は納得した。協賛だか協力だかをしてくれる以上この程度の販促は、当然だろう……。

 その「イベント情報」のページには、やはり「new」のブリンク文字がいくつも並べられていて、その先のページには、コンテスト期間中、商店街の空き店舗を利用して出店される予定の店舗の広告とか、コンテストにエントリーしてきた人たちの写真やプロフィールのリストのページも、既に準備されていた。
 この、期間限定の出店に関して、服やアクセサリーなどの雑貨、というのはまだしも荒野にも理解できたが、「メイド喫茶」とか「執事喫茶」というあたりになると、完全に荒野の理解を越えていた。前者については、茅がその存在を知ったらいきなりメイド服装備で飛び入りしそうな予感がしたので、向こう側でパラパラ技術書をめくっている茅をそっとみて、即座に別のページに移動する。
 そんなわけで、荒野は、今度はコンテストにエントリーしてきた娘たちの写真がずらずらと並んでいるページに、アクセスしてみた。受け付けを開始してからまだいくらも経っていないのに、すでに二十名以上の応募者がいる。
 今の時点でこの人数だと、まだ二週間も残っている期間中にどれほど人数が増えるのか……。
『才賀のあの趣味って……今の日本では、割りとポピュラーだったんだな……』
 と、荒野は思った。

 本名で応募している者も少しはいたが、大概が一目で偽名とわかるマンガじみた名前でエントリーしている者が多かった。エントリーシートには本名を書き込むことが必須なのだが、個人情報保護の観点からも、それを公開するかどうかは本人の判断に任せている、という。
 エントリーをしてきた人々には、商店街や出店で使用できる、かなり多額にわたる商品割引券も支給するそうで、実際に商店街に足を運んで買い物をすれば、エントリーに必要となる出資分はすぐに取り戻せるようになっている、と、玉木からは説明されていた。
 出場料を徴収するのはあくまでエントリーしてくる人々の本気度を測るためであり、そこから利益を出すつもりはない、という話しだった。あくまで、人を集めるのが目的のイベントであり、コンテストへの出場者も、それなりに本気で取り組んで貰わないと困る……というのが、商店街側の意向でだそうである。

「イベント情報」関連のページを一通り見終わって商店街のサイトのトップページに戻った荒野は、「イベント期間限定サービス中!」というバナーをみつけ、なんとなく嫌な予感に襲われながらもそのバナーをクリックした荒野は、危うく口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになった。
 むせて、どんどんと自分の胸板をたたく。
 何事か、と茅がこちらをみているのにもかまわず、荒野は携帯を取り出して、玉木へ電話した。
『……もしもし? カッコいいこーや君?』
 コール音二回で、玉木は電話をとった。
「おう。おれだけどな……。
 今、商店街のサイトをみているんだけど……この、期間限定お買い物特典のポストカードってのは……なんなんだよ!」
『あれぇ? 話してなかったっけ?』
 玉木の声は平然としていた。
『いくら人が集まっても、こっちにお金を落としてくれないと困るからねぇ……。
 だから、こっちもいろいろな手を考えたのさー!
 こういうイベントに集まる人たちっていうのは、限定物とかに弱いコレクター気質の人が多いから……非売品で、一回、商店街でお買い物してくれるごとに、君達のポストカードをプレゼントすることにしたんだよ……。
 全部で百種類くらいかなぁ……。
 喜べ! カッコいいこーや君のカードは、唯一の男性キャラだから、それだけでかなりのレアカードだぞ!』
「喜べるか!」
 荒野は不機嫌な声で即答した。
「人の肖像権をなんだと思っている!」
『……まぁまぁ……前にもいったように、君達にもメリットがあることなんだから……』
 荒野が不機嫌になっているのを知ると、玉木は宥める口調になった。確かに、その点に関しては、玉木と有働に何度も噛んで含めるように、繰り返し、説明されているのだが……。
「すまん……その、どうしても、こういうのに慣れることができなくて……」
 それまでは、「目立つな。周囲に溶け込め」と教えられてきた荒野である。
『……いいけど……。
 これ、カッコいいこーや君のためでもあるし……もう、大勢の人を巻き込んで動き出している訳だから、腹を括ってくれないと……協力してくれる人たちにも、悪いよ……』
 最後は玉木にそう諭される形になって、電話を切った。

 電話を切った後、荒野は、眼を閉じて、少し考え込んだ。
 玉木は玉木で……というより、商店街は商店街で、このイベントを成功させようとして必至になっているわけで……。
 今回に限り、正論を吐いているのは、玉木の側のようだ……。

「荒野……落ち込んでいる?」
 意外と近い場所で、茅の声がした。
 眼を開けると、いつの間にか、茅が荒野のすぐ傍まで来ていた。
 荒野が顔をあげると、茅はそのまま顔を倒し、荒野の肩に頭を乗せた。
「落ち込んでいる、というか……おれ……このまま、この土地に居つこうとするのが……単なる、おれたちの我が儘なんじゃないのかって……そう、思えてきた……」
 荒野は、無意識裡に漠然と考えていた事を、その場で絞り出すように、ゆっくりと茅に語る。
「玉木にしろ、有働君にしろ……。
 あと、放送部とか、パソコン部とか……商店街の人たちとか、みんな一生懸命にやっているのに……なんか、気づいたら、おれ……おれとか茅と一族とか、自分たちの都合のことしか、考えてなかったし……。
 おれ……今、頑張っている人たちに、なんかしてくれって……いう資格、あるのかな……」

[つづき]
目次

有名ブログランキング

↓作品単位のランキングです。よろしければどうぞ。
newvel ranking HONなび

アダルトアフィリエイト
 エッチな素人写メ画像が楽しめるサイト ★えっち!投稿掲示板★
無修正動画サイトJJJFFF
↓このblogはこんなランキングにも参加しています。 [そのじゅういち]
アダルトサーチエンジンA エログランキング一番街 サーチデアダルト アダルト屋.COM えっちblogランキング Sexy Queen ランキング ぬるぬるナビ アダルトサーチ E-SEARCH ADULT 女神information 早抜きサーチ
スキヤキAV
無修正動画 Omany.tv 無修正アダルト動画 Onacle.tv

Comments

Post your comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

このページのトップへ