第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(82)
楓は香也より少し背が低いくらいだが、今、玄関での土間に足を着けている香也は、楓よりほんの少し低い位置にいる。
目線の位置は、楓の方がやや上、なくらいで、気づけば、楓の顔は、思いがけず間近にあった。
今更にしてそのことを意識した香也は、かっ、と頬が熱くなるのを感じる。
同居人、ということで、極力そうした意識は持たないように心掛けているのだが……一旦意識してしまうと、歯止めが効かなくなるおそれがある……と、自覚していた。。
少し上から見下ろしている楓の顔は、香也の頬が熱くなっているのと同様に……朱に染まっている。
『……そんな、こんなに近くで……何か期待しているような、それでいて怖がっているような表情をされたら……』
ヤバイ、と、香也は、思う。
もう一押し、なにか、きっかけがあったら……香也の理性は……間違いなく、決壊する……。
もともと、楓は、可愛らしい顔立ちをしている。くわえて、メリハリのある体型でもあり……なにかと男の欲望を刺激する要素を備えた外観をしている。
そんな楓から、不意に引き留められ、「二人きりですね」などと意味ありげなことを言われ、そんな熱っぽい視線を送られたら……普段抑制するように心掛けている、香也の男性の部分が、鎌首をもたげてしまう。
香也のその部分は、以前味わった楓の「中」の感触を、しっかりと記憶していた……。
「あああ、あの……本当に、ごめんなさい! お邪魔してしまって! これ、離しますね!」
香也が黙り込んでしまったのをどう勘違いしたのか、楓は香也の服から手を離して、パタパタと手を振った。
そういって、慌てて、二、三歩後ずさろうとしたのだろう。
慌てて後ずさろうとして、勢いがあまり、玄関先においていた足拭きマットを滑らせてしまい、それに足元をとられる。
「……きゃっ!」
と可愛らしい悲鳴を上げてそのまま転びそうになり……。
「……あぶっ!」
……ないっ! ……と、とっさに香也は腕を差し出し、楓の体を支えようとして……。
失敗し……。
二人は、玄関先の廊下で折り重なるようにして、倒れ込んだ。
「……えっ……」
「……あ……」
楓の上に香也が覆い重なっている形で……すぐ間近に……香也の顔と楓の顔を隔てる空間は……十センチもない。
至近距離、に、なっていた。
「……あっ……あっ……」
楓が、目を見開いて、あえぐ。
「ご、ごめん!」
「駄目!」
体を起こそうとした香也の体を、一瞬はやく、楓の腕が捉える。楓は腕を香也の首に回して、ついで、足も、香也の胴体にからませて……熱い体を、香也に密着させる。
楓の体重を支えきれるほどの腕力を持たない香也は、楓にされるがままになって、床の上で抱擁しあう形となった。
「顔……見ないでくださいね……。
今、わたし……とてもいやらしい顔、していると思います……」
香也の目の前に、真っ赤になった楓の耳があった。頬同士が密着しているので、楓も、顔が真っ赤に熱くなっているのが、容易に想像できた。
「……い、一生懸命、ががが、我慢したんですよ、わたし……」
耳に、楓の吐息がかかる。
いい匂いがする。
香也の下にある楓の体は、柔らかいけどしっかりと押し戻してくる弾力もあって……。
「で、でも……香也様……いつも優しいし……。
こ、ここまできたら……わ、わたしは、どうなっても……」
楓の声は上ずり、次第に小さくなり、しまいにはごにょごにょと聞き取れなくなった。
「……あっ、あぁ……」
香也は、呻いた。
頭に血が昇っている。
まともな思考が、できない……。
「……か、楓ちゃん!」
ようやく、掠れた声でそう叫び……楓の、口を塞ぐ。
いきなり口唇を重ねられた楓は、一瞬目を見開いて驚いた顔をしたが、すぐに目を閉じて、香也のされるがままになった。
香也の舌がねっとりと自分の口の中を這いずり回る感触を楽しみながら、楓は、香也の首に回した腕に力を込める。
『……羽生さんも……香也様のほうから……してくれるんなら、いいって……』
楓の、かろうじて残っていた理性的な部分が、そんなことを考えている。
そう。
以前の、香也との行為は……多分に勢いに任せたどさくさまぎれのもので……どちらかというと、香也の主体性は無視されていた……。
でも……今回は……。
『香也様……こんなに……カチカチになって……』
香也の股間と密着している部分が、そこだけ別の生物のように変容した香也の分身を、感じている。
堅い。
香也に口の中を蹂躙されながら、楓は、その香也の分身が密着している部分を、意識にすりよせる。
そして片手を回して、香也の股間のジッパーを下げはじめた。
『……こんなに……窮屈そう……』
ジッパーを下げると、下着ごしに、香也の堅くなった部分が指に触れる。
下着一枚ごしに楓の指先が触れると、香也のそこはぶるんと震えた。
楓は、自分の上に重なっている香也の体をゆっくりと押し、自分と並んで廊下に尻餅をつくような形に持って行く。
楓は、自由になった香也の片手を導いて、服の上から自分の胸の上におく。
楓のここは、平均よりも、大きい。
男性一般は、この部分の感触を楽しむものだ……と、楓は教えられていた。
香也の手のひらが、楓の胸を揉みしだく。楓も、どんどん変な気分になってきている。
『……もっと……』
乳首の先のほうを弄ってほしい……とか考えていることに気づいて、楓は恥ずかしくなってくる。
照れ隠しに、ジッパーを下げた中にある堅い部分を、指先で、そっとまさぐる。
下着の上から、指先を何往復かさせると、ようやく香也が、「うっ」と呻いて、楓の口から顔を離し、
「……その……本当に、いいの?」
と聞いてきた。
「ここまできて……そんなこと、聞かないでください……」
楓は少しむっとした顔をして答えてから、顔を伏せ、
「ここで、やめたら……かえって、怒ります……」
と、小さな声で付け加えた。
そして、顔を伏せたまま、香也のベルトのバックルを外しはじめる。
「ずっと……こうしてくれること……待っていたんですよ……」
楓の耳は、真っ赤だった。
「……いつ……前のことは間違いだから……なかったことにしてくれ、っていわれるのか……ずっと不安で……香也様、周りに、いっぱい、素敵な女の子いますし……」
いけないいけない、と思いながらも、楓の口調は愚痴っぽくなっている。
「……んー……。
でも……」
一息ついて落ち着いたのか、香也の方も、いつもの調子が戻ってきている。
「……楓ちゃんの方こそ、ぼくなんかには全然、もったいないし……」
「……そんなこというと……怒ります……全然、相手にしてくれなかったのに……」
楓の声が、小さくなる。
「ずっと……ずっと……不安だったんですから……なんとも思われてないんじゃないかって……」
そういって、楓は香也の上にのしっかかった。
「やっと……香也様の方から……」
そういって、香也の服のボタンを外しはじめた。
「もっと……香也様のこと……感じさせてください……」
香也も、時折楓の首筋などに口唇を這わせたりしながら、楓の服を脱がしはじめる。
そんな時、突然……。
玄関が開き……そこで、コート姿の孫子が、家に入りかけた姿勢のまま……棒立ちになった。
孫子は、口を開きかけたまま、パクパクと開閉して、玄関前の廊下に折り重なって寝そべって、お互いの服を脱がしあう格好でフリーズしている楓と香也を、見詰めた。
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つづき]
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