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彼女はくノ一! 第五話(103)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(103)

 一族の少年たちが縛られて転がされていた仲間たちをかついで帰っていくのと前後して、職員室に視聴覚室の使用許可を求めてにいった生徒たちが帰ってくる。視聴覚室が使えることを確認した斎藤遥が、ボランティア活動に参加した生徒たちに、「明日の午後、説明会があります」と同報メールを送信する。

「……このメール、何人ぐらいに……」
柏あんなが、斎藤遥に尋ねる。
「放送部とパソコン部の有志で……今の時点で三、四十人ってところかなあ……今ここにいある人達も含めて……。
 それに、『その他に、興味がある方も飛び入り参加歓迎』っていう文面もいれたから、プラス何人か……柏さんも、来るんでしょ? まだ、十分な説明をしてもらっているわけでもないし……」
「……うん……聞くだけは、聞いておこうと思う……。
 加納先輩、見た目よりもいろいろ考えているみたいだし……」
「そうそう。差別だの偏見だのは実態をよく知らない所で変に想像力を働かせるからエスカレートしていくんでさぁ、実物しっちゃうと、かえってなーんだぁ、とか思っちゃうよ……。
 さっきまでここにいたニンジャの皆さんも、加納さんにはかなわないかもしれないけど、それでも多分、この場にいる人達をどうこうしようと思えば、あっと言う間にできたと思うよ……。
 加納さんたち、茅ちゃんもお兄さんたちも、予想以上にすごい人たちなのかもしれないけど……それでも、話の通じない人じゃないし、さっきのやり取りを見る限り、ここにいる人たちになにかしようってつもりもない……。
 むしろ、どうしたら危害を加えずに、迷惑をかけずに済むのか、それを一番に考えている……。
 そういう人を、事情も知らずに見放してはいけないと思うんだ……」
 結局、実習室にいた生徒たちのほぼ全員がそのまま、明日の午後、視聴覚室で行われる説明会への参加を表明し、その日は解散、ということになった。
 ほぼ全員が浮足立っていて、それ以上実習室に残っていても、以前のようにまともに通常の作業を遂行することはできない、と、大多数の者が判断した。
 混乱していたのは柏あんなだけではなく、程度の差こそあれ他の生徒たちも動揺はしており、少し時間をかけて気持ちを落ち着かせる必要を感じていた。

「……香也様ぁ……」
「取り乱すんじゃないの、このお馬鹿くノ一!」
 荒野や生徒たちが結構な混乱状態にあった時、楓もまた、混乱していた。
「……な、何故、こんなことに……」
「こんな季節に暖房のない玄関先で長時間全裸で汗だくになっていれば……多少の体調不良は、むしろ当然なのではないかしら?」
「……さ、才賀さんは、よく落ち着いていられますね!」
「風邪程度でおろおろしていてもしょうがないでしょう……。
 重病、ってわけでもないんだし、普通に養生していれば二、三日で直ります……」
 香也は、香也の部屋に寝かされている。
 パジャマに着替えさせたり、汗をかいた体をタオルで拭いたりする時に悶着が持ち上がりかけたのだが、そうした火種も、「香也がすぐそばで寝ているから」という理由でどちらともなく自制するので、完全に炎上することはない。楓と孫子は互いに監視し、牽制しあいつつも、二人で氷枕などの定番アイテムを用意する。
 そして、そんなドタバタが一段落した後、二人は寝ている香也の邪魔にならないよう、小声で囁きあっていた。
 香也の邪魔をしたくないのなら、二人そろって部屋から出て行けばいいと思うのだが……あんなことがあった直後なので、楓も孫子も、二人してお互いに不信感を持ち合っている。長く座を離れ、香也とその他一人を「二人っきり」にするわけにはいけない……と思っている。
 もちろん、それ以外、香也の容体も心配である。
 今の香也は、高熱を発して寝ているだけで、言い換えれば、典型的なインフルエンザの症状を発言しているだけなのだが、二人にとってはかなり心配であるらしい。
 そんなわけで、楓と孫子は、香也の部屋で睨み合っていくばかの時間を過ごしていた。
「……そろそろお夕食の時間ですわね……」
「タオルの水、温くなってきましたね……」
 二人して、なんとか相手に仕事を押しつけてこの場から遠ざけよう……とプレッシャーをかけあっている。
 同時に、自分は香也の側から離れまいとしている。
 もう、何度も同じような問答が繰り返されていた。

 そんな膠着状態が破れたのは、楓のもとにかかってきた一本の電話がきっかけだった。
「……はい。楓ですが。茅様、ですか?
 はい。はい。
 え? 今から?
 はい、はい。え? そ、そんなことは、ないですよ……。
 ま、まさか、ガクのことをすっかり忘れていたなんて……ええ。すっごい心配していましたよぉう。まさか、そんな。嘘なんかじゃないですよ。あは。あはははははは……。
 はい、では、そういうことで……」
 通話を切った楓は、やおら立ち上がる。
「……大変!」
「……どうなさったの?」
「みなさんが、これからこの家にくるって!
 今日起こったことの説明と、今後の方針を話しあいながら、お食事をするそうです!
 材料は向こうで用意する、っていってたけど、みなさんが集まる前にお掃除を……」
 今朝からバタバタしていたため、この日は誰も家の掃除に手を着けていなかった。特に、玄関のあたりは、三人でさんざん、あーんなことやこーんなことをしたままの状態のままだ……。それころか、孫子も楓も、外出から帰ってきた時の服装を着替えてさえ、いなかった。つまり、未だ、忍装束とゴスロリ・ドレスを着ていたわけで……。
 一瞬、顔を見合わせて頷きあった孫子と楓は、やおら立ち上がり、今度は競うようにして香也の部屋を出る。

 まずは、着替え。その後、掃除。
 短時間のうちに小なさねばならないミッションが山積みしている以上、いがみ合っている余裕はない。それぞれの部屋に帰って、普段着に着替えた後、二人は言葉少なく分担を取り決め、玄関から居間、台所、それにトイレまで、来客の目につくような場所を片っ端から掃除しはじめる。
 普段の姿からは想像もつかないほどのチームワークの良さだった。

 一人部屋に残された香也は、そんな出来事があったのも知らず、昏々と平和に眠りこけていた。

[つづき]
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