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彼女はくノ一! 第五話 (113)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(113)

 玉木の言葉どおり、説明会は、最初は昨日までに放送部員たちが調べ上げて来た写真やデータをプロジェクターで投影しながら、有働が用意して来た説明文を読み上げる、といういたって地味な展開ではじまった。それらのデータは、昨日のうちにリアルタイムでブログにアップされた写真や文章を元にし、有働が地図と関連づけて分布図にしたりしたものだった。

「……というわけで、今まで調べた範囲内では、周辺に民家がほとんどなく、工場や倉庫が集まっている西の地区の、隙間みたいな場所に、多くの不法投棄が行われている、ということで……。
 これは、これらの地区が、夜間になると極端に人目が減る、ということと、また、付近に居住する住民が少なく、その分、投棄に対する罪悪感が減る、ということなのだろうと推測します。加えて、この付近は道路幅が広く、目の行き届かない私道などにゴミを投棄して、そのまま車で逃げやすい……などの、地の理もあります。
 他に、住宅街にもいくつか、ゴミ溜まりができているような場所も点在していますが……これらは、西の地域に比べると、規模的にも小さいですし、捨てられているゴミも、ほとんどが小さな家庭ゴミです。これらは、撤去が比較的容易な訳ですが……西の地域の方は……写真を見てもらえば分かる通り、寝具や大型家電、果ては、バイクや車両など、撤去に費用がかかるものが、固まって捨てられております……」
 最初のうち、有働の説明をあまり真剣に聞いていなかった生徒たちは、それでも私語などをすると即座に追い出されるので、しかたなしにおとなしく聞いている……といった風情だったが、数々の写真を大写しにされ、町の地図に赤いポイントを打たれたものなどと一緒に提示されると、最初は写真に圧倒され、次に地図をみて、これらの投棄場所が自分たちの生活圏と重なった場所であることを確認すると、次第に興味を示しはじめた。
「……で、これらのうち、人数が集まりさえすれば、すぐに片付けられるのは……」
 不法投棄場所、を示す赤い点の三分の一ほどが、青い点に変わる。
「……残りが、人手だけでは解決できない投棄場所、ということになります。これらを片付けようとしたら……ゴミを運び出すためのトラックや、ゴミ処理場へ支払う費用などを用意しなければなりません。それらの試算は、これから行う予定です……。
 なお、今回発表したデータはすべてWEB上に公表しており、随時更新されております。興味なる方は……」
 と、データの集積と連絡用に使用しているブログのアドレスを口頭でいい、その後、
「……このアドレスは、構内の掲示板に貼ってあるポスターにも書いてあるので、興味のある方は、後で確認してください……。
 ええ。
 ぼくの方からの、現時点での中間報告は、以上です……」
 有働は深々と一礼して、説明を終える。
「……はい。
 有働君、ありがとうございました。これから質疑応答に移る訳ですが、その前に今後の予定などを、簡単にご説明願えれば……」
 司会役の玉木がいうと、有働は再びマイクを取る。
「……はい。
 今後の予定は、ですね……。
 引き続き、調査の方を続行しながら、集まった人数で、片付けることが可能な場所から、町の美化運動を継続的に行いたいと思います。
 合わせて、ですね……なかなか手がつけられない場所の方も、ゴミの撤去に必要な費用などを具体的に試算し、そのための資金集めなども、順次、やっていきたいと思います……」
 有働がそう答えると、見守っていた生徒たちから、
「……おおー……」
 という歓声ともため息ともつかない吐息が漏れた。
 大半の生徒たちは、そこまで本気で取り組むつもりだとは、思わなかったのだろう。

 続いて、質疑応答に移った。
「この調査、どれくらいの時間をかけて行ったものですか?」
「ええと……はじめたのは、先週ですね。
 実質、二、三日というところです。パソコン部の協力者が無料で使えるブログのアカウントを取ってくれれたので、後は放送部の有志の人たが飛び回って、携帯で写真とか所在地とかのデータを送ってくれました……」
「今、このボランティア活動に、何人くらいの人が動いているんですか? また、誰でも手伝えますか?」
「今、動いている人数は……ちゃんとした名簿とか作っていませんし、その時々、自発的に手を貸してもらえる人のみでやっていますので、実態数はこれと明示できるものではないのですが……。
 昨日、動いていた人数は、放送部の有志とパソコン部の有志、合わせて、二、三十人、といったところでしょうか……。
 あと、やる気さえあれば、手を貸してもらえる方は、誰でも歓迎します。これも、まだまだ立ち上げたばかりなので、まだちゃんとした窓口を作っていないのですが……それが用意できるまでは、お手伝い希望の方は、とりあえず、こちらにいる二年の玉木珠美さんに申し出てください……」
「さっき、資金集めがどうこうっていっていたけど……具体的に、当てがあるの?」
「それについては、現在、いくつか計画している所ですが……未定の部分が多いので、今の段階ではいえることはあまりありません。
 しっかりした会計のシステムとか、学校側の許可とかの問題がありますので……。
 ただ、資金集めのための準備は、進行中です」
「それは、具体的に……これ、とかですか?」
 質問者の女生徒が、ポストカードを掲げる。
 美容院や商店街で配っている、非売品のポストカード……荒野や茅、楓や孫子などがモデルをしている、ポストカードだった。
 生徒たちが、軽くざわつきはじめる。
「……はいはい。お静かに!
 そうです。それも、確かに資金源の一つとして、考えています。
 それで、試験的に、やってみました。
 ですが、今の時点では、モデルさんたちに支払う報酬としてのギャラは、一切、発生していません……」
 玉木が、騒然としじめた場内を静めるように、若干声を大きくして、マイクに向かう。
「……ええ。
 そのポストカードを配りはじめた最初のお店……カッコいい……じゃなかった、二年の方の加納荒野君とか、ここにいる松島さんとかがカットモデルをやった美容院さんなんですが、ポストカードを配りはじめた日から、予約が殺到しました。
 それに、商店街の方も……昨年末のイベントとか、ケーキ屋さんとか、それに、現在進行中の、イベントでも……彼らの存在が、前提となって、売上が倍増しています。
 ですが、彼らは、今の時点では……年齢的な問題で、金銭で報酬を受け取ることを、拒んでいます。学校とか法律とかの問題で、そうしたポーズをとらざるをえない部分も、多々ありますが……」
 玉木珠美は、最前列に座る先生方の方を、意味ありげにみた。
「……それで、こちらの方で発生する筈のギャラを、ボランティア活動に流用しようという案は、確かに出ています。
 ですが、それはまだ案の段階で……関係者の打ち合わせもなにも、全然できておりません……。
 第一……彼らの存在ばかりに頼っていては、この活動の意味がないのです……」
 ここで玉木は、人ごみをかき分けて教壇に近づいて来る荒野と茅の姿に気づいた。
「……はい。
 有働君の説明が一段落したところで、遅れていた主役が到着したようです……」

[つづき]
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