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彼女はくノ一! 第五話 (143)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(143)

 楓はそれで簡単な手裏剣の講習が終えるつもりだったが、放送部のギャラリーたちからリクエストがあったので、今度は「飛んだり跳ねたり」の機動も含んだ実技をみせることになった。
「どんな体勢からでも投げられるっていうの、実際にみせてよ」
 と、いうわけだ。
 玉木と放送部たち、徳川浅黄は、期待のこもった目で楓をみつめている。
「い、いい……ですけど……」
 自分が注目される、ということに慣れていない楓は、戸惑いつつも、衆人環視の中で、自分の技を披露することにする。
 放送部員に、「光量の関係で、あそこいらへんを……」と指示された場所にある廃材に、まずは背中を向け、振り返り際に何発か、手裏剣を突き立てる。次に、あぐらをかいた体勢から、寝転んだままで……と、続け、どれもかなり狭い範囲に集中して命中。
 拍手が起こる。
「……今度は、移動しながら、いきますね……」
 楓が片手を上げて宣言した次の瞬間、楓は一陣の旋風となった。
 びゅうん、という音とともに、それまで立っていた場所から姿を消し、玉木ら、目撃者たちが「え?」と思った次の瞬間には、廃材の反対側、十メートル以上は離れた場所にいる。
 その、瞬時の間にも、廃材に突き刺さる手裏剣の数は、増えている。
 楓は、廃材を中心にして、円を描くように走りながら、廃材に手裏剣を突き立て続けた。
 残像を残して走る楓の速度自体、玉木たち一般人の感覚では異常に思えるほどだったが、それだけの速度で移動しながら、ちゃんと狙った場所に手裏剣を命中させている……。
「……本当は、気配を消してやらないと意味ないんですが、今日は見せるため、ということで……」
 いつの間にか、楓が玉木の隣に立っていた。
 ぎょっとして、玉木は二歩ほど楓から遠ざかる。
「……け、気配を消すって?」
「えっとぉ……人の目をごまかすための、歩法、というか……。
 あ。実際に、やってみますね……」
 玉木の問いに答える形で、楓は、唐突に姿を消した……ように、見えた。
 きょろきょろとあたりを見渡して、楓の姿を探す放送部員たち。
「……ね?
 見えなくなったでしょ? こういう技、わたしたちは、気配を消すって呼んでいるんです……」
 姿を消した時と同じ唐突さで、楓がもともと立っていた玉木の隣に姿を現した。
 楓にとってはどうということもない行為なのか、息ひとつ、切らしていない。
「……あ。あ。あ……」
 それまで無害な存在だと思っていた楓が、立て続けに見せてくれた、脅威的な行為を目の当たりにし……玉木は、かなり動転していた。
 手裏剣とか、走るのが早い……というのは、まだしも……いきなり、姿を消したり現れたりするするのは……。
「……本当に……ニンジャ、なんだなぁ……」
 玉木としては、そうつぶやくよりほか、なかった。
「これ、見えないように見せかけているだけで、実際に、消える訳ではないから、カメラとかには写るんですけどね……」
 玉木の動揺には気づかない風で、楓は、ビデオカメラを持っていた放送部員に声をかける。
「ちょっとまって……今、再生して……」
 楓に話しかけられた放送部員は、液晶画面を覗き込みながら、ビデオカメラを操作しはじめた。
「あっ……それらしいのが、写っていることは、写っているんだけど……。ぶれぶれだな。動きが速すぎるのか、かろうじて、何かがある、ってことくらいしか、分からない……」
 玉木も同じ液晶を、覗き込む。
 めいっぱいスローにして再生しても……その部員のいうとおり、かろうじて、輪郭が判別できる程度だった。
「……もっと、高感度のカメラを用意しなければ、ちゃんと撮れないな……」
 放送部員たちは、そんなことをささやき合った。

「……ガクちゃんたちは、気配絶ちはできるんですよね?」
 楓は、放送部員の反応には興味がなかったので、そのままテンとガクに話しかける。
「……うん。そういうのは、じっちゃんに一通り、教えてもらっている……」
 テンとガクは、頷きながら、二人で交互に答えた。
「歩法とか、体術とかは、一通り……」
「……手裏剣も……補充が効く環境なら、教えてもらえたと思うんだけど……」
「……それなら、基本は出来ているんですから、手裏剣も、すぐに扱えるようになりますよ……」
 楓は、そういって、二人に笑いかける。
「……そう……だね……」
 楓の笑顔をみて、それまでどこか不機嫌そうだったガクも、少し緊張を解いた表情になる。
「うん! ボク、がんばるよ! 早く傷、直す!」
 肝心のガクが、思うように体を動かせない現状では……と、楓の出番は、その日はそこまでになった。
 まだ、全然、大したことを教えていない……という物足りなさを楓は感じたが、手裏剣の講習などは人目のある場所では行えないので、それなりに意義があるのだろう……と、思うことにする。

「……防音は、大丈夫ですわね?」
 続いて、孫子が徳川に確認しながら、ゴルフバッグから無骨なシュルエットのライフルを取り出す。
「……このあたりは工場や倉庫ばかりで、多少の音なら、まるで目立たないのだ……」
 徳川が保証すると、孫子は頷いた。
「人も……いませんわね?」
「今、工場内にいるのは、ここにいる人間だけなのだ……」
「工場内で、一番、長い距離を取れるのは、どのポイントかしら?」
「このフロアで、というと……対角線をとるのが一番長くとれるのだ……ちょっと待て……今、邪魔な廃材をどけるのだ……」
 徳川が天井に据えられたクレーンを操作して、適当に孫子の射撃に適した状態を整えるのに、二十分ほどの時間が必要だった。
 徳川は、クレーンを操作しているの間に、手の空いた放送部員たちに塗料の入った缶と刷毛を渡し、「標的のマーキングをしておくのだ」と言った。
 放送部員たちは、孫子の指示にしたがって、かなり遠くまで歩かされ、黒と白のペンキで、頑丈そうな廃材に同心円を描き、その周囲にライトとビデオカメラをセットした。
 三脚で固定したビデオカメラは、ケーブルで徳川から借りたノートパソコンに接続し、LAN経由で現場を中継するようにした。同様のセッティング作業は何度か経験しているので、手慣れたものである。
 さらに、孫子の前に出ないように、全員で事務所の中に入った。中継のセッティングは済んでいるから、回線に接続されたマシンさえあれば、着弾状況は、どこででも確認出来る。
 すべての準備が整うと、孫子は、ライフルを構え、立て続けに引き金をしぼる。あっという間に一弾倉分を空にし、流れるような動作で、すぐに別の弾倉をセットした。
 その弾倉も、すぐに空になる。
「……すげぇ……」
 着弾状況をモニターしていた放送部員が、ぽつり、とつぶやいた。
 孫子は、いくつもの弾倉を空にし、何十発という弾丸を打ち出しているのに……着弾は、まったくぶれることがなかった。
 すべて、せいぜい半径二センチほど場所に、集中している。

「……今日は、この子の耐久性をみてみなかったので……とりあえず、数を撃ってみましたの……」
 散々撃ち尽くして、事務所の帰ってきた孫子は、そういって微笑んだ。
「……使っているうちに、熱やガス圧で標準が狂うことも、ありえますから……」
 命を預ける銃器の使用試験は、しつこすぎるくらいに繰り返すのが、普通なのだ、と説明した。
「それに……実弾の量産も、すぐにでも着手してくださるそうですし……」
 続いて、孫子は、この近隣に専用の射撃場を確保する相談を、徳川としはじめる。
 必要な用地や設備は、買い取ってもいい……と事無げにいい、面積など、必要な条件をずらずらと並べはじめた孫子を、徳川篤朗と浅黄以外の者は、異星人をみる目で注目しはじめた。
「……十億単位の資金でしたら、すぐに用意出来ますけど……。
 当座はこの工場を使わせて貰うにしても、長期的に見ると、専用の設備はあったほうがいいわけですし……」

[つづき]
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