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彼女はくノ一! 第五話 (151)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(151)

 二人で台の自転車屋にいくついでに、夕飯の材料を買いに行く。現在の狩野家は人数が多いので、小まめに食材を買い足さないと、すぐに冷蔵庫の中身は寂しいことになる。
 ガクはまだ自転車に乗る練習をしていないので、二人で二台の自転車を手押しして移動する形になった。
 商店街は、例のゴスロリ・フェアの真っ最中だったので、適当なところで一度自転車を止め、ガクに荷物もちをさせて手早く買い物を済ませて自転車のところに戻り、荷物を荷台やハンドルにぶら下げて、家に向かう……つもりだったが、買い物の途中、茅と楓の二人組みに、ばったりと出くわした。
「……どうしたん? 君たち?」
「お買い物なの」
 羽生が尋ねると、茅が即答する。
「そりゃ……みれば、分かるけど……」
 羽生は不審に思った。
 それまで、加納兄弟の買い物は、荒野が行っていた筈だ……。
 羽生自身は何度か、学校帰りに肉とか野菜とか魚とかが入ったビニール袋をぶら下げた荒野を見かけている。
「……買い物は、カッコいいこーや君の分担だったんじゃあ……」
「これからは、買い物も、茅がやるの……」
「でも……カッコいいこーや君、食うだろ?
 荷物、大変じゃないか?」
「……楓がいるの」
 それまで即答した楓が、少し、言いよどんだ。
 なるほど。
 茅の後ろに立っていた楓は、多数の荷物を抱えていた。
「……こっちのガクちゃんみたいなもんか……」
 羽生がちらりと視線を走らせると、ガクも、今の楓と同じような格好をしている。
「ま……なんでもいいか。
 今日一日かけてな、庭におっぽいといた自転車を、ガクちゃんが使えるようにしてくれてな、それこっちに置いてるんだわ。
 荷台とか籠とか、ハンドルにぶら下げるなりすれば、みんなで楽できるし……」
 羽生のいう通りにして、四人でぞろぞろ帰ることになった。
 その帰り道、羽生は楓と茅から、最近の学校での様子を、詳しく聞くことになる。
「……それで、いつもより早く帰って、買い物をすることにしたの」
 茅は、今朝の校門前での顛末を語った後、そう締めくくった。
「それでか……。
 カッコいいこーや君、確かにモテそうなルックスだもんな……」
 羽生は、話しはじめた茅が、普段とは違い、意外に表情豊かにみえることに、気づいていた。
「で……楓ちゃんも、それに付き合っている、と……」
「わたしは……もともと、帰り道は茅様とご一緒するようにしていますし……。
 それに、パソコン部の人たちも、帰っていいって言ってくれましたので……」
「例のボランティアのシステム、かなり良いところまでできてるの?」
「ええ。もう、基幹部分は……。
 あと、自主勉強会の方のシステムと、連動させるとか言い出しまして……」
「……え?」
 羽生は茅のほうを振り返った。
「そっち方面には、あまんり詳しくないけど……。
 それって……大変なんじゃないか?」
「そうでもないの」
 茅は、なんでもないようにいって、頷いた。
「システム自体はわりあいシンプル。大まかな部分はもう作ってきたの。
 後は、中身の、教材の拡充だけ……」
「……茅様……仕様書、ぱっぱっぱっーて、二時間くらいで上げちゃいましたもんね……」
「内容は、昨日、寝ている間に考えておいたから、後は、その場でタイプするだけだったの。
 学校の勉強も、ボランティアも、あらかじめ設定した作業内容を設定期間内に消化する、という点は同じだから、最終目標までの工程を、無理のない範囲内で消化できるタスクに整理し、それを消化し、達成度を表示できるスケジューリング機能を付加すればいいだけのことで、プログラム的には、かなりの部分を流用できたなの……」
 ……寝ている間に考えておいた? 最近、若いモンの間では……そういう冗談が、流行しているのだろうか?
 茅の話しを聞きながら、羽生は、そう、いぶかしく思った。
「……でも、パソコン部はなんか課題ができたーって喜んでましたし、教材の方は、佐久間先輩が中心になって、まとめてくれることになったし……」
「今日のペースを維持できれば、今学期中にはすべて完成すると思うの」
「……正直、なんだかよくわからんが……君たちが、見かけ以上に凄い存在だということだけは、よく分かった……」
 それが、羽生譲の正直な感想だった。
 話しに出てくるパソコン部員とかは、そういう茅や楓たちに臆する事なく、ついて行こうとしている訳で……そっちの、「普通の子」たちも、凄いよなあ……と、羽生は思う。
 自分より、明白に優れた者が、すぐ目の前にいた時……卑下することも僻むこともなく、まっすぐに対峙できる者が……果たして、どれだけいるだろうか?
「……学校の友だち、大事にしろよ……」
 羽生は、誰にともなく、そういった。

 マンションの前で自転車を止め、茅と楓、それにガクが、加納兄弟の分の食材を運び込む。
 羽生は、「夕食これから作るんなら、またこっちで一緒につくって食べないか?」と誘ってみたが、「今日は、茅がご奉仕したいの」と断られた。それでは、と、楓が手伝いを申し出る。まだ、茅といろいろ話し合うことが残っているから、ちょうどいい……というのだ。
 三人がマンションの中に消えると、荷物番の羽生は煙草に火をつける。
『……なんだか、みんな……意外に、しっかりしてんのな……』
 羽生の主観によれば……程度の差こそあれ、みんな、どこか危なっかしい子たちばかりだ……という印象が強かったが……今日の話しを聞いていると、危なっかしい部分はやはりあるものの、それなりに自分がやるべきことを見つけて、それに打ち込んでいるじゃないか……とか、思う……。
 羽生が煙草を吸い切る前に、ガクだけ帰ってくる。楓は、夕食の準備ができるまでには帰ってくるそうだ。

「……んじゃ、こっちは二人でみんなの分の晩ごはん、用意しようか?」
「そうだね。にゅうたんと二人で、というのも、珍しいけど……」
 そんなことを話しながら、ガクと二人、肩を並べて、すぐ隣の家まで自転車を押して歩く。

[つづき]
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