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彼女はくノ一! 第五話 (152)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(152)

 夕飯の支度をしている最中に楓が帰宅し、すぐに着替えて台所に合流してくれる。
 夕食の支度を手伝いながら、楓は、茅と一緒にボランティアや自主勉強会関係のプログラムを手伝っていることなどを、話してくれた。
「……でも、パソコン部の人たちもどんどん新しい機能付加してくるんですよ……」
 と、楓は付け加える。
 そんな風にして、三人がかりで夕食の準備が整った頃、制服姿の孫子が帰宅した。普段、部活でもない限り、授業が終わると真っすぐに帰宅する孫子が、これほど遅い時間に帰宅するのは珍しい。
「……今日、部活の日だったけ?」
 台所に顔を出して声を掛けて来た孫子に、羽生はそう尋ねる。
「いえ、学校でちょっと用事がありまして……」
 孫子は、「着替えて来ます」と断りをいれて一度退出してから、その言葉どおり、着替えてすぐに戻って来て、炬燵の上に料理を並べるのを手伝いながら、簡単に放課後にやったことを説明してくれた。
 孫子は、下校時刻ギリギリまで学校にいて、荒野やその他、部活をやっていた生徒たちと一緒に帰って来た、という。香也は、例によって樋口明日樹を送っているようだった。
「……つまり、ゆうべ話していた勉強会の準備をしていたわけですが……」
 孫子の説明によると、学校側は、空教室を一つ、使わせてくれるらしい。
「随分と、気前がいいなぁ……」
 羽生は、そう感想を漏らした。
「……もともと、空いている教室を使っているだけですし……それに、玉木さんたちには、むしろ、目の届くところで動いて貰いたいと思っているのかも知れませんし……」
「……なるほど……」
 いちいち教員に許可を求めたりお伺いをたてにいったりしている現状は、学校側にとってもそれなりに安心できる状況なわけか……。
「基本的には、生徒の自習のために場所を解放して貰う、という形ですが、手が空いた時に様子をみにきてくれる、とおっしゃっている先生も何人か、いますし……」
 まあ……生徒が自分から勉強する、といってきているわけだから、協力的になる先生も多いだろうな……とh、羽生は思う。
「ゆとり教育」とかで実質的に授業時間が減っている中、古手の先生の中には、満足のいく内容の授業ができない、と思っている人も多いだろうし……。
 そんなことを話しているうちに、明日樹を送って来た香也が、続いて、テンが帰宅してくる。
 長く留守にしている真理とノリ、それにたまにしか帰宅しない荒神を除き、全員揃っての食事となった。
「……買い物の帰りに、茅ちゃんと一緒になってな、多少人数が増えても、用意する手間はあんま変わらないから、今日も家で食事したら、って誘ってみたんだがな……」
「……テンの方は、今なにやってんの?」
「トクツーさんの手伝い、っていうより、ボク達が使うもの製作。トクツーさんは、良い実習になるっていっているけど、今日は孫子おねーちゃんの弾頭とか楓おねーちゃんの手裏剣とか六角、複製してた……。
 って、いっても、材料選んで、後は機械のセッティングするだけ、って感じだけど……。
 トクツーさんとのこ機械は、特殊な制御言語使って動かしているから、慣れるまで大変で……。
 そういうガクのほうは?」
「……うんっとぉ……朝一で病院に行って見て貰って、その後、庭にあった自転車整備してた。にゅうたんが手伝ってくれた……」
「そういえば、今朝、茅様が、珍しく感情的になってて……」
「そうかぁ?
 ちょい前までともかく、最近、あの子、わりと感情を顔に出すようになっているような気がするけど……」
「……あっ!
 そういえば……そうかも、知れませんわね……」
「やっぱ、学校に行ったり、みんなと付き合ったりする間に、いろいろ影響しているんじゃないかな? じんわりと。毎日会っていると、そういう微妙な変化、なかなか気づかないけど……」
「茅様は、加納様のことになると、目の色が変わりますから……」
「やっぱ、学校でもそうか?
 ……二人きりで暮らしているし、変な噂がたたないといいなあ……」
「噂じゃないよ、それ! ちゃんと、毎日のように……」
 慌てて、テンがガクの口を塞ぐ。
「……ガクは、もう少し場の空気というものを考える!
 そんなこと、この場にいるみんな、知っているの。
 それでも、表向き兄弟ということになっているから、そういう噂がたったらやばいの!」
 ガクが、テンの拘束を解いて、言い返した。
「……そんな嘘、つく必要ないじゃん!
 だって、本当に兄弟じゃないし……」
「だから、ここでは、本当のことだけで通用しないの!
 まず、普通なら、かのうこうやの年齢で、同年配の異性と二人きりで生活できないから! あの年齢で、大人を伴わない二人暮らし、っていうのが、そもそも非常識なの! それをなんとなく容認させているのが、二人は兄弟って建前と、それに、長老とか先生の後ろ盾なの! 兄弟って建前がなくなったら、二人は、今まで通り、暮らせないの!」
 テンは、ガクに向かって一気にまくし立てる。
「……本当のことばかりでは、うまくいかない事もある。
 世間ってのは、そういうもんなの!」
「……あう……」
 テンに詰め寄られたガクの方は、ぽかんとした顔で、テンを見返す。
「……テン……。
 すごいな、それ……。
 そんな理屈、どこで習ったの?」
「……普通、習わなくても、わかるよ……。
 じょーしき……。
 わからないガクのほうが、特別鈍いんだ……」
 テンは糠に釘的なガクの態度に、がっくりと項垂れる。
「……そうなの?
 そういうの、じょーしき、なの?」
 ガクは、食卓を囲むみんなをぐるりと見渡す。
 成り行きを見守っていた全員が、こくこくと力無く頷いた。
「……そっかぁ……じょーしき、なのかぁ……」
 ガクは、妙に感心した様子で、重々しく頷いた。
「難しいなあ、じょーしき……」
 ……ガク以外の全員が、どこからどう突っ込んだものか、思案した。

「……ほ、ほんでな。
 ソンシちゃん、今日、帰り遅かったようだけど、学校でなんかやってきん?」
 しばらく間を置いて、気を取り直したように、羽生譲が話題を変える。
「ええ。
 さっきもいたように、自主勉強会の準備で、空教室を片付けて使えるようにしてきました。思ったより人数が集まってくださりましたもので、予想以上に早く終わりましたが……」
「凄かったですね。
 同報メール一つで何十人も集まってくださって……中には、飯島さんのように、部活の途中で駆けつけてくれた方もいましたし……」
「……水泳部は、シーズンオフは、どうせ陸上トレーニングだから……とかいって、総出できてくれましたわね……。
 あと、加納のグルーピーというか親衛隊というか……」
「なに、そんなんいるの?
 まあ……カッコいいこーや君は、カッコいいから、そういうのがいても不思議ではないけどな……」
「……もともと、潜在的にいた人達が、週末の騒ぎを機会に顕在化した感じですわね……」
「それで……今朝も、茅様が機嫌悪くなったんですぅ……」
「ああ……それで、感情的、かぁ……。
 分かりやすいっていえば、分かりやすいな……あの子も……」
 羽生がしきりに頷くと、
「……もともと、表情に出すのが不得手なだけで、茅様は素直すぎるくらいに素直なお方ですよぉ……」
 楓は、そういって口唇を尖らせた。

[つづき]
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