2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

彼女はくノ一! 第五話 (164)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(164)

 孫子は、いつものように冷静だった。後日、このことが「刑事事件」として扱われる可能性もある。
 二十人以上の男が、たった二人の少女を取り囲んで恐喝まがいの言辞を弄したのだから、どちらの立場が有利か火を見るよりも明らかだったが、それでも打ち所が悪くて重傷者が出た時などに備えておいた方がいい……と、思っていた。
 だから、孫子は、男たちのあしらいはテンの判断に任せ、専ら「観察」することに徹していた。そもそも、素手での近接戦闘では、孫子は、テンにはまるで及ばない。
 テンは、身体能力的なパラメータでは、三人の中で最低だ、という話しだったが、それは比較の対象である他の二人が凄すぎるだけであり、こうして実際に動いている所を目の当たりにすると、テン単身でも、十分に孫子を圧倒させた。
 事実上、二十人の男たちを相手にしても、テンには、男たちに手加減をする余裕さえあった。孫子でも、ようやく目で追えるほどの速度で移動し、あっという間に男たちを空中に放り投げる。
 最初に投げた男たちが地面に着く前に、全ての男たちが、空中に放り出された。
「……テン、油断しないで!」
 あることに気づき、孫子が声を上げる。
「この中に、四人、あなたの動きを目で追っている方がおりましてよ!」
 孫子でさえ、ようやく追尾しているテンの動きを、テンに投げられながら、目で追っている男たち……が、一般人のチンピラ風情であるわけは、なかった。
「……二宮か、野呂か……。
 あなた方に挨拶に来た方々が、この中に混じっている可能性が、あります……」
 孫子は、昨夜の荒野の話しを思い出し、そうつけ加える。
「……ラジャー!」
 足を止めたテンは、戯けたしぐさで孫子に敬礼をした。
「自分以上に冷静な人がいてくれると、助かります!」
「……手伝いは、入り用かしら?」
 孫子は、テンに確認した。
 一族関係の問題なら、孫子は、部外者だ。求められていないのに手を貸すのも、無粋に思える。
「ノー・サンキュー!」
 テンは、答えながら、ジャケットの中から折りたたんだ六節棍を取り出す。
 一般人ではなく、一族相手、ということになれば、油断はできない。
「……わざわざ、カモフラージュしてきたんだ……。一戦交えなければ、納得しない手合いなんでしょ?」
 六節棍を棒状に組んだテンは、それを振り回して、ひとしきり演舞をしてみせる。
 どこかで見覚えがある……と、孫子がしばらく記憶を探ると、今朝、楓が六節棍を振り回した時の動きだった。
 ただし、テンのそれは、楓の動きよりも早かった。
 まるで、ビデオの早回しのような動きでアスファルトに叩きつけられた男たちの間を縫うよう駆け抜けるテンをみて……男たちの間に、目に見えておびえの表情が走り、逃げ腰になった。
 ここに来て、ようやく……テンが、通常の、外見通りの存在ではない、ということに、気づいた表情だった。
「さあ! 弱い者いじめは、趣味じゃないんだ!
 逃げる人は、今のうちだよ……」
 最後に、仁王立ちになったテンが、六節棍をアスファルトに打ち付けると、男たちの大半は、地面に打ったところをさすりつつ、自分たちのバイクに向かう。
「わたくしたちは口が硬いから、今日の醜態は黙っていて差し上げます……」
 その男たちの背に、孫子が、凛とした声をかけた。
「……その代わり、再度の挑戦があった時は、手加減をいたしません」
 多言無用、再挑戦、上等……という孫子の宣言になんの答えも返さず、大半の男たちはバイクに分譲して、去っていく。全員、憮然とした表情をしていた。文句の一つも言い返したいが、それをしたら負け犬の遠吠えになる……と、分かっているようだった。
 なにしろ……たった二人をとり囲み、そのうちの一人だけに、返り討ちになったのだ。それなりに、口惜しい所もあるのだろう……。
 孫子は、まるで同情心が湧かなかったが。
「……あ。本当に、四人だけ残った……孫子おねーちゃん、ナイス……」
「スナイパーは、目が命です……」
 孫子とテンは、その四人など無視して、軽口をたたき合っている。
「……まいったなぁ……おねーさん……」
 四人の内、一人が、前に進み出た。
 特攻服、とかいうのを着ているが、よく見るとあどけない顔立ちの少年だ。年齢も、孫子とたいして変わらないだろう。
「……せっかく、こっちが地元の血気盛んな一般人に混ざって、普通の喧嘩に見えるように工作したのに……おねーさんが冷静なんで、それも台無しだよ……」
 拗ねたような表情で、いう。
「十点。百点満点で」
 孫子は、冷静に採点をした。
「偽装工作として……限りなく、意味がないのでは、なくて?
 チンピラまがいの連中とはいえ……一般人を巻き込んで目撃者を増やしたら、元も子もないでしょ……」
 進み出てきた少年が、不服そうな表情をしたので、孫子は慌てて解説をつけ加えた。
 荒野は……昨日、「やってくるのは、何らかの理由で実戦から遠ざけられている半端者だ」と予測したが……それは、大きくは外れていないらしい……と、孫子は心中で小さくため息をついた。
 彼らは……なんというか……どこか、ずれている。
「……ねーねー……」
 テンが、無邪気に、声をかける。
「おにいさんたち、強い?
 一戦、試してみようよ。なんなら、四人一遍に相手にしてもいいよ……」
「……テン!」
 孫子は、声を大きくした。
「止めはしませんが……人目は、避けるべきです。
 予定通り、徳川の工場に向かいましょう。
 それから、あなた方も、ついていらっしゃい……」
 孫子は、四人の少年たちに声をかける。
「……この先に、知り合いの工場があります。
 その中なら、そこそこ広いし、人目も憚らずに暴れることが可能です……」

「……で、連れて来ちゃったんだ……」
「なんであなたが……ここに居ますの?」
 自転車とバイクで徳川の工場前に乗り付けると、出迎えたのは玉川珠美だった。
「……わたしだけではなく、放送部の連中も、何人か来てるけど……。
 二、三日前から、ここのコンピュータ借りて、動画の編集作業やってたのよ。知り合いの中で、一番ハイスペックなマシン揃っているのここだし、トクツー君に頼んだら、あっさり使用許可だしてくれたし……」
「……動画編集?」
 孫子が怪訝な顔をすると、玉木は目をゼリービーンズ型にして、「にししっ」と笑って、孫子に親指を立てた。
「……シルバーガールズ!
 ここのマシン、凄くってさぁ……おかげさまで、合成とか3Dとかもやり放題だよ!」
 そういって、テンに声をかけた。
「おお! 技の一号ちゃん、元気か? 力の二号ちゃんは、今日は一緒じゃないの?」
「……力の二号ちゃん? それって、ガクのこと……。
 ガクなら、家で寝てるけど……」
「……そーかそーか……。
 で、そっちの思いっきりヤンキーって感じの方々は? 孫子ちゃんの知り合いにしては、ガラが悪いけど……」
「加納の、関係者……だと、思う。
 たぶん……」
 珍しく、孫子が言葉を濁す。
「……へっ!」
 玉木の目が、点になった。
「じゃあ、あの……学校とか商店街襲った人たちの、仲間?」
「……ち、違いますよう!」
 四人の少年たちはぶんぶんと手や首を横に振った。
「……おれたちは、加納の荒野さんに興味持って……でも、荒野さんに直接会うのも、その、緊張するから、周辺部の人から接触していこうって……」
「……ようするに、ボクたち三人の強さを、確かめに来た人だよ」
 少年たちのしどろもどろの弁明を、テンが引き取る。
「で、トクツーさんに話し通して、これから工場の中で決闘してみようと……」
「……おー!」
 ここで何故か、玉木が奇声を発した。
「好都合! 今、ちょうど、撮影機材も揃っているから……。
 また新しい素材、撮れるなぁ……」




[つづき]
目次

有名ブログランキング

↓作品単位のランキングです。よろしければどうぞ。
newvel ranking  HONなび

無修正動画 Omany.tv
↓このblogはこんなランキングにも参加しています。 [そのはち]
Adult Link*Link 【アダルトXアダルト】相互リンクNAVI ADULT-STEP.JP ERO=MIX @SEARCH 無料アダルト総合情報サイト~アダルト・ザ・ワールド アダルト専門 リンクアダルトサーチ アダルトサーチ PB SuperNAVI ADULT asa.tv
無修正動画サイトJJJFFF
エロアニメ

Comments

Post your comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

このページのトップへ