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彼女はくノ一! 第五話 (196)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(196)

「……あ。どうも、楓です……」
 足元に自分たちが倒した術者たちがごろごろ転がってうめいている中、楓は、荒野に電話をかけている。
「こっちは大体カタがつきましたけど、そっちの様子は……。
 はい。はい。
 え? そう……ですか?
 ええ。でも、一応……万が一、ということがありますから……。
 はい。はい。
 では、わたしたちは、今からそちらに向かうということで……はい……」
 楓は、早々に荒野との通話を終え、孫子に向き直った。
「加納様は……わたしたちは、おそらく必要にはないらないだろう、っていってますけど……。
 念の為、立ち寄った方が、いいかと思います……」
「……そう、ですわね……」
 孫子も自分の携帯をチェックしながら、楓の言葉に頷く。
 茅から、メールが着信していた。
「学校は、今では落ち着いているようですし……。
 加納の性格を考えれば、無理に強がっているとも、思いませんけど……向こうに合流した方が、いいでしょうね……」
 そうして、楓と孫子は、全力疾走を開始した。
 徳川の工場までは、現在地からいくらもない。

 そして、徳川の工場に入った楓たちが見たものは、異形、異相の集団に取り囲まれた、テンとガクの姿だった。
 テンたちとの乱闘には参加せず、遠巻きにして、工場内の廃材に腰掛けて、成り行きを見守っている男女も、かなりの人数にのぼった。
 テンやガクとやりあうことを求めなかった、一族の関係者……ということ、らしい。
「……加納様!」
 駆けつけた楓は、そばで見物を決め込んでいる荒野に詰め寄る。
 荒野から少し離れた所に、やけに顔色の悪い三十前後の男と、小柄な老人とが立って、荒野と同じような表情で、乱闘を見守っている。
 二人とも、妙に目つきが鋭い。
 おそらく一族の中でも名のある術者だろう楓は、目礼をして、
「なんで……」
 見ているだけで、手を出さないのか……と詰め寄ろうとした楓を、荒野は手で制した。
「……下手に、加勢をしてみろ」
 荒野は、楓に説明する。
「あいつらに、恨まれるぞ……。
 なに……テンやガクも、この程度の相手にむざむざやられるやつらじゃないさ……」
 荒野は明らかに、この状況を面白がっている風情だった。
「それに……ここで終わるのなら、あの二人も、所詮、そこまでの存在だった、というだけの話しでな……。
 あの二人には、負けたら後始末はするから、存分にやれ……と、そういってある……」
 荒野は、こういう判断を下す時は、冷徹である。
「……だから、楓……。
 お前も、あいつらが確実にやられる前では、手を出すんじゃないぞ……それに、才賀もだ……」
「……わたくしには……手出しする、理由がありません……」
 孫子の回答も、冷淡といえば冷淡だった。
「あの子たちがここからいなくなっても……わたくしには、なんの損失もありませんもの……」
 自分がこの土地に残るための努力は惜しまないが……テンやガクを、身を挺して守るほどの義理もない……というのが、孫子のスタンスだった。
「……そんなところだろうな」
 荒野も、頷く。
 もともと孫子は、たまたまこの場に居合わせただけであって、一族内部の事情にコミットすべき理由も特に見当たらない。
 ことに、現在、二人が相手にしているのは、現在、現役の一族の中でも、札付きの曲者だ。普通に考えたら……気軽に、反抗できる相手ではないのだ。
「加納様……」
 楓が、珍しく緊迫した声で、荒野に話しかける。
「せめて……。
 二人がとどめを刺される直前になら……加勢しても……」
「勝敗が、はっきりしたら……どちらが不利になったにせよ、その時点で、おれも、介入する」
 楓の言葉にも、荒野は頷いた。
「……どっちが勝つにせよ、こんなことで、取り返しのつかない確執を作るのも……馬鹿らしいもんな……。
 最初のうちは、おれも、二人の方が圧倒的に不利だと思ってた。
 でも……今では、どう転ぶか、わからん……。
 どういう結果になるにせよ、よく見ておけ……。
 先天的に優れた素質を持ちながら、技については白紙に近い新種と、それに、いびつな特性を持ち、特定の分野に自分の技を特化させてきたオールド・タイプとの、威信をかけた決闘だ……。
 滅多にある見世物じゃないぞ……」

「……はいはい。
 見てますよ、撮ってますよ……」
 荒野には聞こえない、ということをわかりながらも、玉木としては、返事をせずにいられない。
 事務室内にいる玉木たちの元にも、荒野の声は届いていた。
 徳川の工場内には、今や、高感度マイクやカメラが多数設置されており、工場内であれば、たいていの画像や音声は拾ってしまう。しかも、日を追うごとに、そうした「センサーの網目」は細かくなっている。
 この間の四人組の一件で、歯噛みした徳川が、半ば意地になって、そうした機材を発注しだし、到着するはしから自分の手で設置していったのだ。そうした特殊な機材は決して安価ではなく、こうしたイベントの時にしか役に立たない、ということを考えると、無駄遣いもいいところだったが……おかげで玉木たち「シルバーガールズ製作委員会」は、撮影機材には不自由しない、ということになって、大いに助かっている。
「……こんな、おいしいシシュエーション……撮り逃して、たまるもんですか……」
 ヴィジュアル的にも、キャラが立った敵。それに、テンに打ち込まれた薬が効果を表すまで……という時間制限。
 これらの要素を、どう「シルバーガールズ」のシナリオに反映させるのか……玉木は、現在進行形の事態を観察しつつ、めぐるましく頭を回転させている。
 そうして採取した画像や音声は容量としてもかなり膨大なものにはるはずだったが、すべて、徳川のサーバに一旦格納される。少し先のことになるが、それら膨大な素材を、どう効率よく編集していくのか……というのも、頭の痛い問題にだった。
 もちろん、徳川の事務所でリアルタイムでモニターすることも可能であり、玉木たち放送部員は、固唾をのんで成り行きを見守っていた。





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