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彼女はくノ一! 第五話 (198)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(198)

 赤い襦袢を羽織った中性的な顔立ちの人間が、幾人も出現していた。
「……いっくよー!」
 しかし……ガクは、そうした幻影に惑わされることなく、赤襦袢の人物たちを突っ切って、何もない虚空に向かって、六節棍を、振る。
「……うがぁっ!」
 六節棍を振り切る前に……赤襦袢の人が、唐突に出現した。
 その人は、ガクの六節棍によって、文字通り吹き飛ばされていく……。
 気づくと、周辺に乱立していた幻影も、消えている。

「……な、何故!
 何故に、居場所が……」
 青白い顔色の男と一緒に立っていた老人が、動揺した様子で声を上げている。
 青白い顔色の男は、いつの間にか、姿を消していた。
「……そうか……」
 荒野は、きょろきょろとあたりを見渡した後、呟いた。
「一度……機械を通して、見ているんだ……。
 徳川とあいつらが組めば……そういうのも、可能か……」
 話しが良く飲み込めない楓が、荒野に質問しようとした時……。
「名人芸は、通じないよ! おじいちゃん!
 だってボクら……最初から、おじいちゃんのことは、見ていないもん!」
 そういう、ガクの声が聞こえた。
 見れば、ガクとテンは、別々の方向から、老人に向かって、六角を投げつけている。
 老人も、しばらくは、しぶとく二方向から飛来する六角を、くないで叩き落していたが……すぐに、くないを弾き飛ばされ、その場に尻餅をついた。
「……まだやる?
 おじいちゃん……」
 テンが、その老人に、六節棍の切っ先をつきつける。
「わしの……負けじゃ……」
 老人が、がっくりとうなだれた。
「……五人目!」
 テンは、誰にともなく、そう宣言する。

「……残り、一人……」
 荒野も、呟く。
「それを、抜ければ……あいつらも、本物なんだがな……」
「そんなに強い方……が、残っているんですか?」
 楓が、荒野に尋ねる。
「強い、というなら……楓、仁木田直人なんかより、お前の方が、数倍、強い……」
 荒野は、ゆっくりと首を振る。
「仁木田直人は……強い、というよりは……負けないための方法を知り尽くしていて……それを実践するために、骨身を惜しまない……ベテランだ……」
「……ああ……」
 孫子は、荒野の言葉に頷いた。
「そういう、特徴のないタイプの方が……あの子たち、苦戦しそうですわね……」
「……そう。
 仁木田直人は……今までのやつらのように、先天的な特性を持っていたり、何かの術に特化しているわけではない。
 だが……とにかく、自分自身の限界を知っていて、油断をしないんだ……。
 基本に忠実……という意味では、楓……お前に、似ているタイプではあるな……」
 荒野は、そんなことをいって、一人頷いている。
 そして、動きを止めたテンにふと視線を止めて、目を眇めた。
「テンのやつ……そろそろ、薬が回ってきたかな?」

「……あと一人!」
 そう叫んで突進してくるガクを、仁木田直人は、六角の連投で冷静に迎撃した。
 連投、とはいっても、一つ一つ、丁寧に狙いをつけて、効果的な場所を狙って投げつけている。おそらく、残りの弾数も、頭の中では計算に入れているのだろう。
 ガクは、仁木田の六角を、大部分、六節棍ではじいた。
 が……しかし、すべてをさえぎることはできず、足首に直撃を受ける。
 その場に、無様に転倒した。なまじ勢いがついていたため、うつ伏せになったガクは、しばらく動けない。
 仁木田は、素早くうつ伏せになったガクに近寄り、ベルトに手をかけて、ガクの体を空中に放り投げ、何歩か退きつつ、空中のガクに六角を再度、連投する。

 ……なるほど……。
 基本に忠実で、隙がない……と、楓も、納得した。
 自由落下中は、もっとも無防備なる……とは、楓も、養成所時代、いやとなるほど叩き込まれた「原則」である。

 仁木田の六角は、何発か命中し、ガクの手から、六節棍が弾き飛ばされ……ガクは、そのまま、床に激突した。
 仁木田の六角に対処するのに忙しくて、ガクは、受身を取る余裕すら、与えられなかった。
 慌てて跳ね起きようとしたガクに、素早く近寄った仁木田が、顎を一蹴して、また距離を取る。
 頭部に衝撃を受けたガクの上体が、ぐらぐら揺れていて、なかなか起き上がることができない……。

「……ガク!
 立たないで、いい!
 その場で、拳、用意!」
 突如、テンが、声を上げた。
 そして、猛然と、六角やら手裏剣を、仁木田に投げつけはじめる。
 仁木田は、平然と、足捌きだけで、テンの攻撃をかわす。
 テンは、仁木田に向かって跳躍。
「……ガク! 三!」
 仁木田は、空中のテンに向かって手裏剣を放ちながら、何歩か後退する。
 テンは、仁木田の手裏剣を避けようとはせず、二の腕に突き刺しながら、着地。着地と同時に、その勢いを利用して、仁木田向かって頭突きをかます。
「……二!」
 そんな、隙が多く、大雑把な攻撃を、ガクならいざ知らず、テンがするものとは予測していなかった仁木田は、ヘルメットでの頭突きをまともにくらい、よろめいた。
 テンは、仁木田の太もものあたりを、渾身の力を込めて、蹴る。
「……一!」
 テンの蹴りを受けた、仁木田の体は、数メートルほど、飛んだ。
 仁木田自身が自分の足で跳んで、蹴りによる衝撃を相殺した、ということもあるだろう。
 しかし……仁木田は、移動した地点、について、失念していた。
「……零!」
 そこは……ガクの真正面だった。
 テンの指示を理解し、ナックルガードを展開して構えていたガクは、絶妙のタイミングで、拳を突き出す。




[つづき]
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