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彼女はくノ一! 第五話 (208)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(208)

 孫子が香也の顔の上に跨がろうとした瞬間、電子音の「メリーさんの羊」が鳴り響いた。
 慌てて香也は手を伸ばし、楓が脱がせたジーンズを引き寄せ、ポケットから自分の携帯を取り出して、耳にあてる。
「……はい。狩野ですけど……。
 あ……。どうも……。
 いえ。いえ。
 ……んー……。
 なんでも、ないです……。
 楓ちゃんも、もう落ち着いて……」
 香也が明日樹に対応している間にも、楓は香也の局部に取り付いて、口で愛撫していて、目線をあげれば、下着を脱いだ孫子がスカートの裾をつまんで、香也に中身がよく見えるように持ち上げている。
 そんなことをされると、香也も思わず目をこらしてスカートの中をみてしまう。
 孫子は、はにかんだような笑みを浮かべ、潤んだ瞳で香也を見下ろしている。

 楓は、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、と音を立て、香也を丁寧に舐めあげ、亀頭を口に含んだり甘噛みして刺激を与えたりしている。
 楓も、香也しか男性を知らない身だが、男性を喜ばせるための知識は、養成所時代に一通り教えられている。寝技が必要な局面もあるから、養成所にいる女性全てに、一通りの知識が与えられるのだ。楓自身は、身体能力の成績が群を抜いて良かったので、早々にそうした授業を免除されたのだが。
 それでも、楓は、香也を舐めているうちに段々気分がでてきて、もぞもぞとパジャマの尻を動かしはじめていた。

 香也は、戸惑っているように動かないが……それでも、鼻息が徐々に荒くなっている。
 下半身を楓に押さえられ、顔の上に孫子が跨がっている今の状態では、当然、香也は動けない。動けない……が、当然、かなり刺激的な状況ではあるわけで……。
 楓に咥えられている部分はこれ以上はない! というくらいに勃起していたし、鼻から口にかけては、孫子の陰毛と局部が直接接触している。スカートが香也の頭部をすっぽりと覆い、通気がほとんど無いということもあって、香也はむっとするような孫子の匂いをいやがおうでも感じてしまう。
 孫子のイメージにそぐわない動物的な香りを吸い込むうちに、香也の鼻息は、自然、荒くなっていく。
 ここにいたっても、香也は……いまだ自分からは動かず、性衝動を自制しようとしている。
 以前の時もそうだったが……薬品の作用によって自分を失う、というのが、香也には、なんとも不本意だった。

『……ああ……』
 孫子は、香也と接触している部分が徐々に湿ってくるこのを感じ……とても、恥ずかしくなった。
 そうしてじっとしているだけでも、孫子自身から体液が分泌されている……。
『わたくしったら……はしたない……』
 そう思いながら、孫子は、我知らず、
「……す、好きにしてくださって……。
 い、いえ……。
 どうか……好きに……嬲ってください!」
 とか、口走っている。
 という孫子の、媚を含んだ声が聞こえてくると……香也の自制も霧散した。
 両手で孫子の太ももをがっしりと掴み、舌を出して、孫子の下の唇を舐めあげる。
 香也の舌がそこに触れると、孫子が「……ひゃぁあっ!」という声をあげて体全体を震わせた。孫子の匂いがきつくなり、香也の口もとを、孫子自身から出てきた透明な液体が濡らす。
 香也は、本能の赴くまま、音を立てて孫子の液をすすり、舐め上げた。
「……ひゃっ! ふぁっ! んひゃっ!」
 香也の舌の動きに合わせて孫子が声をあげ、体をうち震わせる。
 孫子の腰が、香也との接触面を前後にこするように、動く。
「……んっはぁあぁ……!」
 香也が舌の先で孫子の裂けめを割り、内部に侵入すると、すでにある程度高まっていた孫子は、その場で硬直して軽く達してしまった。
 しばらくして硬直が解けた孫子は、ゆっくりと香也の体の上に倒れ込む……。

 三島に腕を引かれて居間に戻ると、寝そべった香也が楓と孫子に乗り掛かられていた。孫子が香也の顔の上にまたがり、楓は、はだけた香也の下半身に顔を埋めている。
『……うわぁ……』
 と、羽生は心中でうめいた。もちろん、他人の房事を目の当たりにするのは、はじめての経験である。
「……おおっ! 姦ってる、姦ってる!」
 対して、三島の声は特に上ずっていたり擦れていたりすることもなく、きわめて平明な調子で、まるで朝の挨拶でもする時のようなリラックスした調子だった。
「やっぱ、若いもんは、こんくらいでなければな……。
 持て余すほどのリピドーを発散させるためのいい口実ができたんだ、大いに姦りたまえ!」
 などといいながら、ゴム製品の入った箱を折り重なった三人に放る。
「……でも、責任を持てないうちは、避妊だけはしっかりしとけよぉ!」
 とも、付け加えた。
 ……羽生は、だんだん、自分だけがどぎまぎしているのが、馬鹿らしくなってきた。
 ……なんなんだ、このノリは……。
「お前さんも、そんなところに突っ立ってないで、炬燵にでも入ったらどうだ? 寒いだろ?」
 羽生にそういって、三島自身ももぞもぞと炬燵に手足を潜り込ませる。
「……それとも、お前さんも服脱いで参加するかね?」
 平然とそんなことを聞いてくる三島の顔を、羽生はまじまじと見つめた。
「三島さん、あんた……仮にも、教員でしょう?」
 そういいながらも羽生は、三島のいうとおりに、炬燵に入る。
「何、そんなもんは、仮の姿さね……」
 三島は、やけにあっさりと答えた。
「それに……盛ったガキどもに限らず、人間の性欲が簡単に押さえ込めるようなら人類の総人口はここまで増えていないし、できちゃった婚もなかろう……」
 それなりに真理も含んでいるが、投げやりないいようでもある。
「……第一……」
 三島は、三人を指さした。
「もう、こつらには、なにいっても耳にはいっていにだろ……」
 確かに、彼ら三人は、お互いの体をさぐるのに忙しく、羽生や三島の存在は、まるで意識する余裕もない……ように、見えた。

 しばらく、くちゃ、くちゃ、くちゃ……という水音と、三人の押し殺したあえぎ声だけが、響いた。
 楓は、四つん這いになって香也の局部に顔をつけ、恍惚とした顔をして、香也の男性を口にしている。完全に勃起した状態の香也自身が楓の口元に見えかくれている。
 羽生は、その部分に自分の視線が釘づけになりかけたことに気づき、赤い顔をして、慌てて眼を逸らす。
「……なんだ、見ているうちに、なんか変な気分になったか? ん?」
 三島に見透かされたような事を指摘され、羽生の頬はますます熱くなった。
「ま、あの二人が満足して、それでもまだ少年に元気があったら、頼んでみるんだな……。
 ゴムは、十分にあるし……」
 羽生は三島からが視線を逸らして、自分の動悸が収まるのを待った。

 香也の上に倒れ込んだ孫子が、横に転がる。
 その拍子にスカートの裾が捲れあがり、何も身につけていない下半身があらわになる。
「……おおぉー!……」
 と、三島は歓声をあげた。
「すげぇ……太股まで、垂れてきている……」
 三島の言葉通り、孫子の足の付け根から太股まで、透明な液体でぐっしょりと濡れている。
 孫子の抜けるような白い肌と、対象的に黒々とした小さな茂みが、羽生の目を射た。
 茂みも、たっぷりと液体を含んで雫を光らせている。
 孫子は、三島の言葉も耳にはいらないのか、横転した、下半身を剥き出しにしたまま、動かない。
 ただ、目を細めて、空中の一点に視線を据えている。
 その表情が、この少女に似つかわしくもなく、恍惚と弛緩していた……。

 孫子がどいた香也の体の上に、楓が乗った。
 香也の顔を平手で挟み、強引に口唇を合わせ、香也の口を割り、舌を滑り込ませる。
 香也はすぐに反応し、むしゃぶりついてきた楓の肩を抱き返した。
「……んっふっ……」
 蕩けたような笑みを浮かべながら孫子が、半身を起す。
 そして、楓のパジャマに手をかけて、そのズボンを、中の下着ごと、一気に引き降ろした。
「……才賀……。
 入れるんなら、こいつを忘れるな……」
 三島が、箱の中から出したゴム製品を一袋、孫子に放る。
「……ふふふっんっ」
 普段の理知的な表情とは違う、半ば惚けたような表情で、孫子は、三島が投げた平たい袋を受け取り、すぐに封を切る。
「……これ……使ったことは、ないのですけど……」
 そういいながら、孫子は、楓の股間に手をいれて、少し空間を作り、そこから香也の男性を引っ張り出した。その時に孫子の指が敏感な部分に触れたのか、楓が身じろぎをする。
 それに構わず、孫子は、器用に香也の男性に避妊具をかぶせた。
「うまい、うまい」
 三島が、孫子の手つきを褒めたたえた。
「はじめてにしては、上出来だ……」
 いや……そういうところ、褒めるのは……なんか違うんじゃないだろうか……と、羽生は思った。
「……さぁ……」
 孫子は、ゴムで武装した香也の分身を、楓にあてがった。
「香也様に……あなたの存在証明を……たっぷりとしていただきなさい……」




[つづき]
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