第六章 「血と技」(142)
下から乱雑に突き上げられ、シルヴィの胸が複雑に形を変えながら上下に揺れ弾んでいいる。
それを見ながら、荒野は、
『……茅のは、こんなにはならないな……』
とか、思ってしまっている。
荒野を押し包むように締め付けてくるシルヴィから、確かに快楽を感じてはいたが……それ以上に冷静に醒めてしまっている自分を、荒野は感じていた。
「……コウ……」
シルヴィが、前屈みになって、荒野の顔を覗き込む。
「……全然、んっ!
気が、入っていない……」
そう指摘するシルヴィ自身は、荒野の動きに合わせて、鼻息を荒くして、自分から腰を動かしはじめている。
経験が浅い荒野とシルヴィとでは、同じ行為をしていても、受け止める快楽の質と量が違うということだろうか? と、荒野はふと疑問に思った。俗にいう、「開発されている」というやつで、茅の例から見ても、回数を重ねた方が、性感は深くなる……ような、気がする。
「……あっ! やっ!」
荒野がそんなことを考えて入る間にも、シルヴィは次第に声を大きくして、荒野の上で跳びはねている。
「……シルヴィ、感じてすぎ……」
シルヴィの乳房を鷲掴みにして下から体重を支えながら、荒野はそう指摘する。
「……やっ! だって、これは……。
コウだからっ! コウは、他の人とは違うのっ!」
シルヴィが跳ねる度に、シルヴィの突き当たりに荒野の先端ががんがんと追突する感触があった。
荒野全体を押し包んでいるシルヴィの襞が、もぞもぞと蠢動している。
荒野は上体を起こして両腕でシルヴィの尻を抱え、持ち上げて、激しく上下にシェイクした。
「……はぁ! あっ! あぁっ! あっ!」
首をのけ反らせて、シルヴィが、短く鳴きはじめる。
荒野が両腕に抱えたシルヴィをシェイクしはじめて、一分もたたないうちに、シルヴィは「……ぅぅぅっ……」という細い声を振り絞って、そのまま全身の力を抜き、荒野の腕のなかでぐったりとしてしまった。
早々に、達してしまったらしい。
置いて行かれた形の荒野は、力の抜けたシルヴィ体をそっと横たえた。
そして、シルヴィから身を離そうとすると、
「……まだ、駄目ぇ……」
シルヴィが、鼻声でいって、荒野の肩に手を添える。
「まだ……抜かないでぇ……。
コウ、終わってないし……」
シルヴィの、荒野を捕らえている部分がもぞもぞと蠢く。達していない荒野は、まだ硬いままだった。
「……もう少し……コウを感じるのぉ……」
舌足らずの幼い口調でいって、シルヴィは手足を荒野の体に巻き付ける。
シルヴィに引き寄せられた荒野は、そのまま、シルヴィと折り重なって、どちらからともなく、口唇を重ねる。
シルヴィが荒野の存在を確認するように、手足を動かして、荒野の背中をまさぐる。
長々とした口づけのあと、顔を離したシルヴィは、
「……このまま、続きを……んんっ!」
と、いいかけ、言い終わる前に動きはじめた荒野に反応して、途中で言葉を切った。
荒野が奥まで打ち付ける度に、シルヴィは全身を震わせて、
「……はぅうっ!」
とか、
「……あぅっ!」
とか、荒野には大袈裟に聞こえる泣き声をあげる。
幼少時からあまり上品ではない大人たちに混って働いて来た荒野は、そうした柄のよくない大人たちによって、早くから洋物のポルノグラフィも見せられてきていたが……シルヴィの反応は、そこにでてくる整形美人たちがあげる、芝居ががった嬌声に、似ていないこともない。
荒野がこれまでに抱いた女性たちとは違って、シルヴィは自分の反応を押し殺す、ということがなく、感じるままに反応しているように見えた。
そこまで激しい反応をする女性と当たったのははじめてだったので、荒野は、もっとシルヴィを反応させたくなる。
そこで、少し腰を浮かせて、シルヴィの尻を両腕で持ち上げてした。
そうすると、挿送している部分の、角度が変化する。
シルヴィの嬌声がさらに大きくなり、全身に赤みがさしてくる。
シルヴィの腰を持ち上げたまま、挿送の速度を速めると、シルヴィはいやいやをするように首を振りながら絶叫し、全身を震わせはじめた。
何度も、「……Oh my! Oh my!」とか喚き、結合部から生暖かい液体が噴出させる。量と、それに、間欠的に噴出されるところからみて、失禁……では、ないようだ。
女性って……本当に感じると、こんな風になるんだ……と、荒野は思った。
そう思った途端、尾てい骨のあたりが、かっと熱くなる。
それまで醒めていた荒野の内圧が、急速に高まっていた。
「……ヴィ!」
荒野は、それまで以上に激しくシルヴィを付きながら、叫ぶ。
「行くよ!
今、ヴィの中に、行くよ!」
「……coming! i'm coming!」
全身を床の上で震わせながら、シルヴィも荒野に応えて、叫ぶ。
荒野が熱くなった分身をシルヴィの中で解放すると、シルヴィはガクガクと全身を波打たせた。
「……hot……very hot……」
半眼になったシルヴィが、そう呟く。
シルヴィの、荒野を加えた部位が複雑な動きを繰り返して、収縮する。
シルヴィは、荒野の背中に腕を回そうとしたが……その腕には、ほとんど力がこもっていなかった。荒野の背中が汗まみれになっていたこともあって、背中にまわされたシルヴィの腕が、するりと脇に落ちる。
シルヴィの心情を察した荒野は、落ちた腕を自分の背中に回し、シルヴィの体に寄り添うように、体を密着する。
シルヴィは、もう一方の手で、弱々しく荒野の髪を梳いた。
「……コウ……。
You are …… power fighter……」
荒野は苦笑いをする。
「経験もテクもないから、力任せになるだけだよ……」
「でも……すごかった……」
シルヴィは、一度、身を起こして、荒野の胸板の上に頬をつけて、体重を預ける。
シルヴィも荒野も、汗まみれになっている。
「……コウの音が、聞こえる……」
荒野の胸に耳を当てながら、シルヴィが、呟く。
心音、あるいは、呼吸音まで、探れるのかもしれない……と、荒野は思う。
茅たちの例もあるから、誰がどのような知覚、能力を隠し持っていても、もはや荒野は驚かない……と、そこまで考えて、荒野は、茅のことをシルヴィに相談して見よう、と、思った。
「……こんな時に、なんなんだけど……」
「何? あの子の話し?
コウ、マナー違反よ……」
荒野の口調から内容を察したシルヴィが、素早く顔をあげ、鋭い声を出す。
「……あっ……。
そう、だな……」
言われて、荒野も初めて気づく。
裸で抱き合っている男女が、別の女性について真剣に話し込むのは……確かに、どこか、おかしい。
「……ま、いいわ……」
シルヴィは軽くため息をついて、再び荒野の胸に耳をつける。
「……話してみなさい。
場合によっては、相談に乗ってやらないこともない……。
あの子には、ヴィも興味があるし……」
荒野は、
「……まだ、はっきりと確認してはいないんだけど……」
茅の知覚拡大化、高密度化が、進行しているらしい……ということを、シルヴィに告げる。
「多分……茅は、おれたちと一緒にいあても、おれたちよりも大量の情報を受け取って、処理している。
一人で高密度な世界に、住んでいるんだ……」
そう前置きして、荒野は、
「……あいつ……自分だけが、孤立している……という風に、感じはじめたらしい……。
一族よりも、さらに特殊な存在だ……という意味を、過剰に意識しはじめた……というか……」
「……それは、また……」
シルヴィは、荒野の上で、再度、ため息をつく。
「この国の言葉でいうと……アリガチで、青い悩みねぇ……」
……他人と自分が違っているのは、当たり前。
そんなこと、放っておいても、すぐに理解するようになるわよ……と、シルヴィはいった。
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