2ntブログ

2006-10

前のページ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(84)

第六章 「血と技」(84)

 曰く、もうもうたる煙の中から、プロテクターを吹き飛ばしながら出てくるシルバーガール。
 曰く、煙をたなびかせながら、六節棍や鎖を縦横に振り回して敵をなぎ払うシルバーガール。
 曰く、後ろから飛来する投擲武器を、振り返りもせずに棍で打ち払うシルバーガール。
 曰く、廃材をものともせず、もの凄い勢いで疾走するシルバーガール……。

「……まー、今日一日で、こんだけの素材が、げとできたわけですよ……」
 居間のテレビで再生したDVDの映像について、玉木はそう解説した。
「……なんつうか、生身でトクサツしちゃうんだもんなぁ……で、結構、見栄えする画像が撮れちゃったりするし……」
 玉木の話しによると、「合成や3Dなどの手間のかかる作業が、かなり減らせる」とのことだった。
「……つまり、低コストで良質のコンテンツを生産できる、ということで……」
 これを利用しない手はない、という趣旨だった。
「どの道……」
 孫子も、玉木の言い分を後押しする。
「……放っておいても、挑戦者は次々とやってくるわけですし……それを撮影するだけで、それなりに見応えのある映像になるのですから、これをお金に替えない手はありませんわ……」
 傍らでは、ガクが、「……どーしてこういう時に、ボクは怪我をしているんだ!」とか、喚いているが、だれも相手にしていない。
「金……ねぇ……」
 荒野は、憮然と呟く。
 荒野にしてみれば……自分たちの戦闘が、一種のショーとして消費される……ということには、複雑な思いがある。
 それでも……むざむざ、無駄に血を流すよりは、はるかにマシか……とも、思うのだが……。
「……具体的にいうと……」
 黙り込んだ荒野に向かって、玉木が説明を続ける。
「シルバーガールズ」を商店街及び、ボランティア活動のマスコットキャラとして扱う。
 商店街やボランティア活動のサイト、それにポスターなどの媒体に、「シルバーガールズ」の画像や映像を散りばめて、知名度の向上を図る。
「……よくあるでしょ、ヒーロー物で、主人公が交通ルールを守ろう、とかいうの……。
 だから、ボランティア活動なんかとは、イメージ的に相性がいいよ……」
「……おれ……その辺のこと、よく知らないから……」
 荒野は、そう言葉を濁しておいた。
「……それ以外に、シルバーガールズのコンテンツや関連商品も、商品にします。
 具体的には、映像そのものの、ダウンロード並びにDVDパッケージ、フィギュアやキャラクター商品など、ですね……。
 画質を落とした本編を、ネットで配布する……ということも、考えています」
「……いや、別に反対はしないけど……素人が作った代物……そうそう、売れるものなのか?」
 荒野は、こめかみを指で押さえつつ、ゆっくりと首を振った。
「……何をいっているんですか、荒野さん!」
 口泡を飛ばしつつ、荒野の方に身を乗り出して力説しはじめたのは、新参者四人組の中で一番濃い顔をしている、佐藤君だった。
「……今の世の中、萌えですよ萌え。それに燃えが加われば、まさに無敵。シルバーガールズには、それがあります。一見、可愛い女の子三人組、実は、最強の正義の味方。このギャップがたまらんのですよ。来ますよ、これは、来ますよ……」
『……こういうキャラか……』
 荒野は、内心で鼻白みつつ、遠い目をして、「わかったわかった」と、佐藤君をいなす。
 佐藤君は……顔だけではなく、性格的にもかなり「濃い」ようだった。
「……あー。その手の知り合いに打診してみた範囲では、そっちのゴツイ人と同じような意見の人が多くてな……」
 玉木は、佐藤君から視線を逸らしつつ、荒野に話しかける。
「……その手の知り合いってのは、ようするに、シルバーガールズの素材とか持っていって、細かいパーツとかアクセサリを作ってもらった職人さんたちなんだが……」
「玉木、お前……そういう特殊な職人さんたちに伝手とか持っているのか?」
 半眼になった荒野が問いかけると、
「……あ。それ、ほとんど、わたしの紹介……」
 と、羽生譲が片手をあげた。
「長年、コミケに出入りしていると、その手の知り合いが自然とふえてな……。
 うちの同人誌のお得意さんの中にもいるし……あと、ちづちゃんの大学も、その手の活動している人、多いな……」
 羽生のいう「ちづちゃん」とは、柏あんなの姉、柏千鶴のことだ。
「……あー。はいはい。いらっしゃいますねー。
 わたしは詳しくはありませんが、ええと、現代視覚文化……ナントカ研究会、だったかな? 確か、そんなサークルがあって、かなりいろいろな方面に手を広げているようですが……」
 同じ大学に通う田中君は、おっとりとした口調で羽生の説明を補足すると、ずずず、と食後のお茶を傾けた。
 ……荒野には、あまり理解できない世界だった。
「……ま、まあ……やりきれる自信があるのなら、好きにやってみてくれ……」
 正直、あまり関わり合いになりたくないので……荒野としては、さっさとこの話題は終わらせたい所でもある。
 荒野はぼんやりと、発起人の一人である孫子の顔を見つめる。
『才賀……悪の組織の女幹部とか……似合いそうだな……』
 と、ふと思った。
「……荒野」
 やおら、茅が立ち上がって、片手を上げた。
「茅も、手伝うの。茅たちの手で、ヒーロー物を作る……」
 茅は、うっとりと陶酔した顔をして、胸の前で掌を合わせた。
「……いや……もう、好きにしてくれ……」
 荒野は、なんとなく徒労感を感じて、少し、うなだれた。
 それから、はっ、とあることに気づいて、顔を上げる。
「今のうちに断っておくと、おれ、出演しないから!」
 これまで事例から考えても……本人も知らない内に、キャストの一人に数えられていた……ということが、ないとは言い切れない。だから、早めに明言して釘を刺しておく必要があった。
 その時、玉木が目を反らして、小さく「けっ、チキンが」と呟いたのを、荒野は聞き逃さなかった。




[つづき]
目次

有名ブログランキング

↓作品単位のランキングです。よろしければどうぞ。
newvel ranking HONなび

フリーセックスジャパン
デジパダウンロード
↓このblogはこんなランキングにも参加しています。 [そのじゅうよん]
Easy-Meana ブログの惑星アダルト KUKURISEARCH GAMERS NET CG-Pocket ギャハハランキング! M-navi ■アダルト総合サイトアダルト教室■ アダルト検索城 あんぐらサーチ
JPムービーズ

彼女はくノ一! 第五話 (167)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(167)

 テンは、煙により視界を遮られた状態でも、投擲武器が飛来する方向を記憶していた。だから、突進するのにも迷いがない。テンは、遠目の効くノリ、鋭敏な嗅覚を持つガクとは違い、五感はせいぜい常人並でしかない。しかし、それを正確に記憶し、分析することには長けている。
 煙の尾を引きづりながら、テンは、投擲に一番力のこもっていた方角に突進する。四人のうち最も至近距離にいたのか、それとも力が強かったのか、とにかく、脅威度が最も高い相手がそこにいるはずだった。腕と胸部のプロテクターはパージしていたが、相手からの攻撃は配慮しない。テンには、大抵の投擲武器は、プロテクターなしでも弾く自信があった。
「……されるかって!」
 驚いたことに、四人のうち、二十才前後に見える、どこか軽い印象の男が、テンがパージしたばかりの胸部プロテクターを振り回して、テンに向かってくる。
 テンは、プロテクターを振り回す男の、脇の下をめがけて、棍を振るった。
 男は、プロテクターを手放し、もんどりうって倒れ……かけたが、地面に手をついて、体勢を持ち直した。
「……まだまだぁ!」
 テンに向き直った男は、拳を構えつつも、額は、冷や汗にまみれている。
『……ガッツは、認めるけど……』
 テンは、正面に立った男を無視して、腕を大きく廻して、振り返る。
 相手は、全部で四人。
 その男の去勢が、テンに隙を作るための芝居であることも見抜いていた。
 それに、テンの腕には、プロテクターをパージして緩んだ鎖が、まだ絡みついている……。
「……ごぉっ!」
 振り返った背後で、男の悲鳴が聞こえ、その後、どさり、と、地面に重い物が落ちる音がする。
 おそらく、男が、テンが振り向き際に振り回した鎖の軌道を読めずにまともに食らい、そのまま倒れたのだろう。
『……まずは、ひとり……』
 テンは、片手で鎖の束を掴んで振り回し、もう一方の手で六節棍を油断無く構え、周囲を確認する。鎖を振り回しているのは、残った四人に対する牽制だ。
 おたふく顔と、テンと同じくらいの子供、それに、ゴツイあんちゃんが残っていた。
 テンは、一番手近にいたおたふく顔に、鎖を叩きつける。
 おたふく顔は、緊張感の無い顔に似合わない俊敏さで身を屈めて、テンの鎖をやり過ごしてから、逆に、両手で鎖を掴み、引っ張る。
 体重に差がありすぎるため、テンは一瞬、つま先立ちになる。
 そこの隙を逃さず、ゴツイのがテンに向かって突進してきて、同時に、子供が少し距離を置いて、テンに向かって六角を一連分、一挙に放つ。
 とりあえず、テンは、体を自由にするために鎖を手放し、親指で棍の関節を一つ緩めて放し、連結部のワイヤーを剥き出しにする。
 片方から数十個の六角が唸りを上げて飛来し、反対側からはゴツイのが突進して肉弾戦を挑んできている……という状況は、テンを、慌てさせなかった。
『……この人たち……あまり……』
 頭が良くないな……と、テンは思いかけ、連携がうまくないな……と、思い直す。
 テンが、ひょい、と一歩脇に退くと、子供が放った六角は、テンに向かって突進してきたゴツイのに向かって、真っ直ぐに飛んでいく……という形になる。
「……うほぉうっ!」
 ゴツイのが、目を見開いて奇声を発し、慌てて飛び退いた。
『……反応が、遅い……』
 六角を追いかけるようにしてゴツイに向かったテンは、瞬時にゴツイの目前に迫る。
 打撃を警戒し、ゴツイのが腕を持ち上げ、ガードを固める。
 同時に、テンは、一つだけ関節を外した棍をフレイル状に振るい、ゴツイのの足元を横薙ぎに払っている。
 テンの動きについてこれないゴツイのが、無様に横転した。
 次の瞬間、テンは、ゴツイの水月に六節棍の先端をのめり込ませている。
「……がっ!」
 と、地面に横たわったゴツイのは、くの字型に体を折って痙攣した。
『……これで、二人……』
 そうしている間にも、残った二人、子供とおたふく顔は、休む間もなくテンに向かって手裏剣や六角などの投擲武器を投げつけている。
 だが、耳を頼りにしたテンの予測は確かなものだった。
 テンは、常人並の感覚しか持たないが、正確な記憶力も持っている。だから、「音」を聞けば、どの方向から、どれだけの勢いで凶器が自分に迫ってくるのか、どういうタイミングで迎撃すればそれらを確実に払えるのか……ということも、正確に記憶している。
 だから、テンは、自分の視界の効かない範囲でも、後ろ手に棍を振るって、正確に落とすことができた。
 テンは、再び動く。
 おたふく顔と子供のうち、子供に向かうことにした。二人ともテンからは同じくらいの距離的だったが、与しやすい子供のほうを、テンは先に片付けることにした。二人とも、今までテンから距離を置いて、投擲武器で攻撃している。おそらく、近接戦闘にはあまり自信がないのだろう……と、テンは、予測した。
 先に倒した二人の反応が比較的鈍かったので、二宮系、残りが野呂系ではないか、と、テンは推測する。
 つまり……。
『……密着すれば……』
 あまり、脅威ではない……と、テンはあたりをつけている。
 だが、テンの予測に反して、残った二人は意外に粘った。
 テンが……追いつけない、のだ。
 単純に、二人ともテンよりは足が速い……ということもあったが、テンがどちらか一方にに迫れば、逃げる。逃げたのとは別の者が、横合いから投擲武器を使用して、テンを牽制する……といった具合で、それなりに息があった連携をみせた。
 この二人は、それなりに付き合いの長い、親しい間柄なのかも知れない……と、テンは思う。
 結果、テンと、残った二人はの三人は、しばらく、廃材があちこちに放置されて足場の悪い工場の内部を、おいかけっこして回る羽目になった。
『……でも……』
 地の利は、工場内部の状況を全て記憶している、テンにあった。
 しばらく、故意にかけずり回って、敵二人の体力と武器を徒に消耗させた後、テンは、頃合いを見計らって、本格的な反撃に移る。
 ストレートに「人」を追うのを止めて、廃材、という遮蔽物を巧みに利用して自分の姿を二人から隠し、二人の背後に回る。
 注意深く気配を絶って、背後に近寄り、いきなり当て身を食らわせる……という作業を、二回、反復した。
 楓が以前、ふと漏らしていた……「自身の存在を完全に秘匿するのが、最大の攻撃手段」というのを、地でいった形だった。




[つづき]
目次

有名ブログランキング

↓作品単位のランキングです。よろしければどうぞ。
newvel ranking  HONなび

無修正アダルト動画 Smooth-movie.com
↓このblogはこんなランキングにも参加しています。 [そのじゅうさん]
WEB ADLUT SAERCH ラグさ~ちすてーしょん X-area18 官能小説検索サイト アダルトサイト お勧めサーチ 読み物交差点 エロブログタイプ アダルト専門 アダルトサーチジャパン アダルト検索NaviNavi ALL-NAVI
裏本X
前のページ
このページのトップへ