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2006-12

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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(145)

第六章 「血と技」(145)

 神経を張り詰めて、周囲の気配を探りながら、荒野はランダムに前後左右に跳びつつ、手探りで肩にかけたバッグのジッパーを少し開け、中に手を入れる。
 荒野の動きにほんの少し遅れて、六角が、つい数拍前まで荒野が立っていた場所のアスファルトに、潜り込む。
『……力が強くて……割りと近く、だ……』
 荒野の動きに反応する時差と、それに、六角が回転していないことから、荒野はそう判断する。
 秘匿性を重視する時……と、いうのは、香也のように、わずかな音でも飛来する六角の位置を正確に把握できる術者が標的である時、ということだが……六角を、あえてスピンさせずに投げることがある。
 これだと、命中時に与えるダメージは何割か相殺されることになるが……。
『……それでも、アスファルトに潜り込む、っていうのは……』
 二宮系の術者だな、と、荒野は予測する。
 もとっも……。
『……単独だと、判断する要素はない……』
 だから荒野は油断しない。
 油断せず、バッグから手探りでタオルを取り出す。
 毎朝、ランニングの時に汗拭き用に使用している、スポーツ・タオルで、普通のタオルよりも生地が厚い。
『……仲間がいるにしても……』
 荒野は後方に跳びながら、六角の弾道を予測し、その場所にタオルをはためかせる。
 タオルの生地が、飛来する六角に巻き付いた感触。
 香也は、六角の軌道をわずかにずらす格好で、自分を軸とし、タオルをぐるりと半回転、振り回す。
 回転していない六角なら、直進する力さえずらせば……タオル一枚で捕らえ、投げ返すのは、可能だった。
 おそろしくシビアなタイミングを図り、場慣れしている者でないと不可能な真似だが……逆にいうと、荒野になら、造作もなく、できる。

 荒野は、六角が投げられた時の勢いをほとんど殺さず、それどころか、半回転させた遠心力も付加して、できるだけ正確に、六角が飛来した方向に投げ返す。
 タオルが六角を離す感触を確認して、肩にかけた、着替えの入ったバッグを構えて、自分で投げ返した六角の後を追った。
『……逃げるか、迎撃するか……』
 これで、少なくとも、六角を使用した襲撃者に関しては、その選択肢を、ある程度、荒野が絞ったことになる。
 他に何人か、周囲に仲間が潜伏しているのかも、知れないが……。
『……まずは、所在の見当がつくやつから、順に……』
 片付ける……と、荒野は決意する。
 無警告に六角を使用しての不意打ち……だから、荒野に対して殺意がある、と判断すべきだった。実際、荒野が飛来してくる六角を察知できずにいたら、まともに命中し、しゃれでは済まないダメージを被っている筈で……。
 何者が、どんな意図でそんな攻撃をしかけてくるのか、今の時点では予測できなかったが、荒野にしてみれば、手加減してやらねばならない理由はないし、また、こと、ここにいたって、躊躇いを生じるのは、襲撃者に隙をみせることになる。

 だから、荒野は、タオルで六角を投げ返すのと同時に、その方向に向け、跳躍している。
 六角を投げ返したのは、正確に、六角が投げ付けられた方向へ、で……だから、その付近に、襲撃者が隠れている公算が、高い。
 荒野は、一足に近くの塀の上に飛び乗り、そこを踏み台にして、電信柱の上に躍り出る。
 それだけの動作を瞬時に……一秒もかけずに終え、六角を投げ返した、その先に、視線を据え……駆け出した。
 荒野は、一拍も足を止めずに、電線の上を疾駆する。
 近くの……二十メートルほど離れた場所に立っていた、街路樹に向けて。
 六角の速度と角度を考慮すると、そこが一番、「怪しかった」。

「……わっ!」
 案の定、その街路樹の上部……枝と葉が茂り、中が見通せない部分から、慌てた声が聞こえる。
「……まっ、待った! タンマっ!
 すとっぷ、ぷりーずっ!」
 そんな情けない声を出しながら、茂みの中から、人影が、両手を上げて、出てくる。
「……地上に降りろ! そして、武器も捨てろ!」
 電線の上に出ようとし人影に向けて、荒野は鋭い声を発する。
 術者を相手にする場合、たかだか両腕を晒したくらいで武装を解除した思うのは、あまりにも早計な判断になる。
 だが、敵よりも高い位置を保持することは、地球の重力が消えない限り、自分の有利に働く。
「……それと、仲間はいるのか?」
 荒野は、その人影が両手を上げたままで、無造作に空中に身を躍らせ、地上に降り立つのを横目で確認しながら、慌ただしく周囲に目配せをしている。
 荒野は、まだまだ油断も安心もしていない。
「……いない。
 おれ、一人だ……」
 そういいながら、人影は、荒野をみあげてにんまりと笑って見せる。
「……あの……武器を捨てたいから、手を降ろしていいかな?」
「先程の言葉は撤回する」
 荒野はその人影を睥睨して、いった。
「もっと両手を高くあげたまま、他の部分も出来るだけ動かさないで、話せ。
 ……意味はわかるな?」
「……わかる。わかるよ、兄貴。
 本当、兄貴の腕を確かめたかっただけで、害意はないんだ……」
 人影は、万歳をするように両手を高く掲げて、おまけに掌をひらひらーっとひらめかせる。
「……おれ、甲府。甲府、太介。
 傍流で、二宮の名乗りは許されていないけど、そっちの家系。
 兄貴の腕前の噂を聞いてさ、いてもたってもいられなくなって、ここまですっ飛んで来た……。
 兄貴、最強の弟子なんでしょ? それでもって、若手の中ではナンバー・ワンなんでしょ? おれを弟子にしてくれよ! おれ、兄貴のいうことなら、何でも聞くからさぁ……」
 甲府太介、と名乗った少年は、幼い風貌に、ふてぶてしさと抜け目のなさが奇妙に入り混じった複雑な笑みを浮かべている。年齢は、外見ではテンやガクと同じくらいに見えた。ジーンズにジャケット、スニーカーなどの着衣は、それなりにまともに見えたが……全体に、薄汚れている。
「……今の攻撃……」
 荒野は、表情も声も緊張させたまま、太介の目を真っすぐに見下ろす。
「……おれでなければ、死んでいてもおかしくなかった……」
「……あ、兄貴、無事じゃん! 思いっきり、無事じゃん!」
 太介は、必死に抗弁する。
「即座に、あんな反撃返してくるし! おかげで、ほら、こっちの手……」
 太介は、高くあげたままの左手を、振ってみせる。手の甲が赤くなって、出血も、少し……。
 どうやら、荒野が投げ返した六角を、とっさに左手で弾いた、ということらしい。
『……右利き、か……』
 荒野は太介と名乗った少年のデータをもう一つ、脳裏に刻み込む。
 少し前に渡されたリストには、太介に該当する人物はいなかった。
「……お前の言い分は理解した」
 荒野はいった。
「背後関係は無い。おれに弟子入り志望。そのためにはなんでもする。さっきの襲撃は、おれの実力を試すため……。
 以上で、間違いはないな?」
「うん! そう! まさしく、その通り! さすが兄貴……」
「……聞かれたことだけに、簡潔に答えろ」
 放置しておけば、いくらでもしゃべり倒しそうな勢いを感じて、荒野は、ぴしゃりと太介の口を封じる。
 流石に、太介も荒野の気迫を感じて、即座に口を閉じた。
「……お前の保護者、ないしは、後見人の姓名を述べよ」
「……いないよ、そんなもん……」
 太介の笑みから、「ふてぶてしさ」の成分が増大した。
「両親とも、殉職ってやつでさ……。
 今は、養成所預かりになっている……」
「……理解した……」
 荒野は、地上に降り立った。
 わざと隙を作って、太介以外の敵は周囲にいない……ということを、確認したからだ。
「お前の処分の決定と、身元の確認は、後でじっくりと行う。
 ついてこい……」
 そういって、荒野は太介に背を向けて走りだす。




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彼女はくノ一! 第五話 (228)

第五話 混戦! 乱戦! バレンタイン!!(228)

 いつものように、狩野家での夕食に誘われたが、明日樹は断った。別に遠慮したわけではなく、昨日も徳川の工場に寄って遅くなったから、二日続けて帰宅が遅れるのが、根が真面目な明日樹の気分的によろしくない。それに……明日樹がまっすぐ帰宅すると、香也も一緒に送ってくれる。
「……なんていうか……」
 狩野家の前で他のみんなと別れ、二人きりになると、明日樹はさっそく口を開いた。
「……いつの間にか、みんな……凄いことに、なっているね……」
 茅と楓は、事実上、放課後の自主勉強会とパソコン部で構築されているシステム開発の中枢要員。孫子は、着々と準備を進め、本当に会社を起こしてしまいそうだし、テンとガクも、徳川の工場でいろいろなことを企んでいるらしい……。
 これだけのことを成し遂げようとしている人材が、香也の周囲に集まっている……というか、茅以外は香也と同居している……というのは……やはり、物凄い、としか、形容のしようがない……。
「……んー……」
 香也の返事は、相変わらずだった。
「……でも、みんなは、みんなだし……」
 香也だけが……泰然として、いつまでも変わらないな……と、明日樹は思った。
 本当に……この半年にも満たない、わずかここ数カ月の期間で、あれだけの変化が起こったのに……この香也だけは、芒洋とすべてを受け入れて、以前と全く変わらないでいる。
 明日樹にとっては、香也のここ「変化のなさ」は好ましい資質に思えるのだが……反面、香也自身にとっては、どうなのだろうか? と、明日樹は思う。
 変わらない……ということは、言葉を変えれば、成長しない、ということではないのか?
「……ね、狩野君……」
 少し心配になってきた明日樹は、香也に尋ねてみる。
「彼女たちが来て……狩野君は、嬉しかった?」
 明日樹にそう問われた香也は、
「……んー……」
 といつもより長く呻吟していたが、やがて顔をあげ、
「嬉しいとかそういうことは……あんまり考えたこと、なかった……。
 だって、あの人たちは、あの人たちなりの理由で、今、ここにいる……居続けようとしているわけだし……その選択を、好き勝手にぼくがどうこういうのは……なんというか、よくいえないけど……なんか、違うと思う……」
 ……一所に住んでいて、あれだけあかるさまに好意を寄せられていても……香也の側から見れば、それだけの距離感があるのだな……と、明日樹は納得した。
 同時に……寂しくも、思ったが。
 香也は……まだ、「他人」を精神的視野に入れていない……いや、実際には入れて……入れはじめているのかもしれないが……そのこと自体に、まるで慣れておらず……。
 香也本人も……いまだ、戸惑っているのだろう……と、明日樹はそう納得した。

 明日樹を送って香也が帰宅すると、楓と孫子がいそいそとエプロンを外しながら台所からでてきて、コートも脱いでない香也の手を両側から引いて、居間に引っ張り込んだ。
「……昨日は、取り込んでいて勉強ができなかったから……」
 昨日の分の勉強も、今日やる……というのが二人の言い分で、香也は、いつものように特に逆らうこともせず、おとなしく制服のまま炬燵に入って、鞄から教科書やノートなどの勉強道具を取り出した。
 今では、二人が香也の勉強を見ることが日課になっているばかりではなく、香也がどこまで理解しているか、までも小テストでチェックし、進捗状況を把握しながら香也専用のカリキュラムを消化しているような具合になっている。
 今では、楓と孫子の二人が、実質上、香也専属の家庭教師である、といえた。
 もっとも……ただの家庭教師なら、左右から、香也の腕に縋り付くように、自分の胸をおしつけてくるようなことはないだろうが……。
『……昨日のことがあるからか……前よりも……』
 一層、密着度が高くなっている。
 楓と孫子の吐息が、香也の頬にかかるほど……二人は体を寄せて来ている。
「……あっ、あの……」
 これでは……香也も、勉強どころではない。
 香也とて若い男性であり、心頭滅却すれば立ったものが萎む、などという器用な真似は、できない。
「……そんなにくっつかれると、その……集中力が……」
 香也は小さくなって、もごもごと小声で呟くように、クレームらしきものを告げる。
「……え?
 あっ……本当……大きく……」
 炬燵の中で、楓の手が香也の股間を素早くまさぐり、そこが堅くなっているのを認めてた。
 楓としては、別に香也を挑発しようとかその気にさせよう、というつもりはさらさらない。
 素直に疑問を持ち、素直に確認しただけである。が……。
 いきなり指先で股間をまさぐられた香也は、びくんと体を震わせた。
 時折……香也は、楓の無邪気さが、怖くなる。
「……えっ……あっ……」
 楓に続いて、孫子の手も炬燵の下で香也の股間をまさぐる。指先をズボンの中心に沿って、下から上までゆっくりと撫であげる……ただたんに「触れた」楓とは、まるで意味が違う「触り方」だった。
「……殿方は……大変ですわね……」
 孫子は、香也の肩に自分の顎を乗せ、香也の耳に息を吹きかけるようにして、濡れた声で、囁く。
「この程度で……こんなになるなんて……いってくだされば……先に、こっちの方を処理しましのに……」
 そういって、孫子がますます体を擦り寄せてくるので、香也は、ますます身を堅くする。
「……ひゃっ!
 あの……ちょっと……」
 顔を赤くしながら、ピンと背筋を延ばす香也。
 耳にかかる孫子吐息は熱くて……こそばゆい。
「……わ、わたしも……」
 楓も、孫子に習って香也の体に、ぎゅうっと抱きついいてくる。
「い……いってくだされば……何でもしますからぁ……」
 ……押し付けられた楓の体は、とても柔らかくて、服越しにでもそうと分かるほど、熱くて……。
『……楓ちゃんの方が、大きくて、柔らかい……。
 才賀さんのは……楓ちゃんほどで大きいわけはないけど、ピンと張り詰めていて、適度に押し返してくる感触が……』
 思わず、押し付けられてくる二人の乳房の比較をしかけて……香也は、はっと我に返って身をよじった。
「……ちょっ……ちょっと待って!」

「……そこっー!」
「……食事前の淫行、禁止っー!」
 居間の異変をかぎつけたテンとガクが、エプロン姿のまま包丁片手に居間に入ってくる。

「……ただいまぁー!
 っと……あれ、なにやってんの?」
 その時、ちょうど帰宅した羽生は、三人で引っ付いている楓と孫子に香也、その三人にエプロン姿で包丁を突き付けているテンとガク……の様子をキョトンとし顔で見渡し、深々とため息をついた。
「……あー……。
 だいたい、何があったのか……想像つくけど……」
 羽生はぽりぽりと頭を掻きつつ、複雑な表情になる。
 なんで真理さんの留守中に……こういうややこしいことになるのか……
「……うーん……。
 昨日のアレもあるしなぁ……。
 一度、きちんと話し合わなけりゃ……余計なトラブルの元か……」
 羽生は、そんなことをぶつぶつと呟いた後、
「……今日は、晩ごはんをしながら、みんなでどうするのか、じっくりと相談することにしよう……」
 そう、宣言する。

 議題、「今後の、こーちゃんの処遇」。
 この提案に、逆らえる者は、いなかった。




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