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彼女はくノ一! 幕間劇(二)

幕間劇(二)

「……さてと、野呂さんと約束した分のお仕事はここまでなわけですが……どうです? 答え合わせのほうは?
 ああ。その顔だと、野呂さんが出した予測と、そうは違わないようですな。まあ、当方には、全く関わりのない事、では、ございますが……。
 あと、野呂さんからは、『出来れば、料金分以上の仕事をして見せて、営業に協力してみろ』ともいわれておるのですが……三島さん、これ以上、わたしの想像、聞いてみる気あります?」
 三島百合香は、無言のまま頷き、傍らの男に話しの先を即した。
「……ん、じゃ。以後はあくまでサービスなんで、与えられた資料をみて、わたしが気になった箇所について、二、三、お話しさせていただきます。
 まず、三島さんがご執心の茅ちゃんの件に関連したことなんですが……」

 彼女、遺伝子以外にも、いろいろといじられているんじゃないですか?

 根拠は、ですね……ええと、ここ。
 商店街。クリスマス・ショーの初日。
 楓ちゃんの気配絶ち……っていうんですか? その見破り方を、才賀さんが荒野君に問いただすところ。
 ここ、おかしくありません?
 だって、荒野君ははっきりと「何年も修行なり訓練を積んで、ようやく身につける技だ」ってこと、いってますよね。
 でも、その直後、茅ちゃんは、よりによって「見よう見まね」で、その場で、同じ技を使っちゃう……。
 これ、遺伝子操作うんんうんでは、ちょっと説明つかないですよ。
 本来なら、練習とか訓練とかでようやく身につけるもん……いいかえれば、後天的な学習により、獲得できる性質のものなのだから……遺伝子は、関係ありません……。

 考えられる可能性は、二つ。
 一つめ。
「見よう見真似」という茅ちゃんの言葉自体が、嘘である。
 あと、もう一つ。
 茅ちゃんは嘘はいっていない。しかし、茅ちゃんが自覚していない所で、嘘になっている。
 茅ちゃんは、実は、何年もそれなりの訓練を受けている。が、その記憶を、選択的に消されている……。

 たしか、六主家の中には、洗脳とかマインドコントロールが得意なヤツラもいましたな……。
 ええと……ああ。佐久間、ってやつでしたっけ?

 そんな反則みたいなヤツラがいたんじゃあ、根本的な設定さえ、いつひっくり返されるかわかったもんじゃない……。
 いやもう。PKディック的な、現実の足下がいつ崩れてもおかしくない、悪夢の世界ですよ……。

 例えば……例えば、ですよ……。

 今、荒野君と同居している茅ちゃんと、その昔、加納仁明氏が育てていた茅ちゃん……。
 果たして本当に、同一人物なんですかねぇ……。
 三島さんも荒野君も、茅ちゃんが発見され、救出されるところから見ているわけでは、ないですよねえ……。
 今の茅ちゃんが、佐久間によって記憶操作され、自分を茅ちゃんだと信じ込んでいる別の女の子だとしても……それ、どうやって証明できるんです?

 いや、まあ。
 今上げたのは、かなり極端な仮定で、なんの根拠もない思いつきなんで、あまり本気に受け止めてくれないで欲しいんですが……。
 ええ。念のため、今の「茅ちゃん偽物説」の反証、やってみましょうか?
 仮に今の茅ちゃんが、囮かなにかの理由で急遽でっち上げられた存在だとしたら……その茅ちゃん、「気配絶ち」を使えるわけはないんです。
 所詮、囮なんて使い捨て、なんですから、何年も手塩にかけて術を仕込んだ、人間を使うはずがありません。
 逆にいうと、今の、一族の技が仕える茅ちゃんは……間違いなく、囮などではなく、一族と深い関係がある子のはずです。

 でもまあ、今の茅ちゃんがその術を習った覚えがない、というのが本当なら……まず確実に、すでになんらかの記憶操作をなされている、ということでしょう……。
 そういう前提で、身構えていたほうが、いい……。
 その辺は、どうぞ念頭に置いておいてください。皆様の安全のためにも。
 すでに記憶操作されている、ということは……茅ちゃんの身に、どんな性質の悪いブービートラップが仕掛けられていて……それが、どんな条件で発動するのか、まったくもって予測できない……と、いうことを、意味します。
 どうか、お帰りになってからでも、荒野君にそれとなく耳に入れて、警告してあげてください。

 あと、遺伝子操作、の件ですが……。
 わたしにいわせれば、どうも、茅ちゃん一人ではないような気がするんですが……。
 現在の技術では、成功確率が極端に少ない、という前提を考えれば……だとしたらなおさら、一つの成功例で満足せず、もっと多くの成果を求めようとするのではないですかね……。
 事故などによる遺失、などの可能性も考慮すれば、スペアを用意しようとするのは当然だと思いますし……。
 あるいは、茅ちゃんとは別のコンセプトで遺伝子操作された個体が別にいても、全くおかしくはない……。

 例えば……例えば、ですよ。
 茅ちゃんとほぼ同じ年格好で、同じ時期に姿を現した、もう一人の少女がいましたねえ……。彼女なんて、どうです?
 仮に、茅ちゃんが知性重視型、もう一人の楓ちゃんが身体能力重重視型の、もう一人の「姫」だという可能性も……まったく、ありえないわけではない……。
 そうは、思いませんか?
 楓ちゃんの履歴は、荒野君がアクセスしたデータと、彼女自身の記憶だけです。
 一族とやらの実在を前提とするのならば、そんなものは、いくらでもでっち上げられる。特に、彼女自身の記憶があてにならない、ということは、たった今、「茅ちゃんブービートラップ説」の際にご説明申し上げたした通りです……。

 荒野君は、いつ、どのような条件で爆発するかわからない爆弾をいくつも抱え、その爆弾を守ろうとしているようなもんです……。
 彼……そのことを、六主家とやらと、ことと次第によっては対立するかもしれない、ということが、どういうことかを意味するのか……その厄介さを、しっかり認識していますかね?

 ……その男の説明を一通り聞いた後、三島百合香は、ポツリ、と感想を漏らした。

「ヤなヤツだな、お前……」
「……よく、言われます」

幕間劇(一)

[つづき]
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