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今は亡き友の妻 (16)

今は亡き友の妻 (16)

 おれのみている前で、片手にビデオカメラ、もう一方の手にまがまがしいまでの大きい真っ黒い例の道具をもった富美子は、そろそろと足音を忍ばせ、おれと抱き合っている響子の背中側からこちらに近づいてきた。おれは歯をむき出して威嚇して富美子の動きを牽制しようとするのだが(静かに嗚咽を漏らし続ける響子と密着した状態では、その程度のことしかできっこない)、そんなこけおどしが通用する相手でもなく、富美子はおれたちのすぐそばで立ち止まり、カメラアングルを調整してから、手にした大人のオモチャを振りかざし、響子の尾てい骨のあたりにそれが触れるか触れないかという所でスイッチをいれ、びゅいんびゅいんびゅいんとやかましいばかりの作動音をたてはじめたそれを響子の臀部に押しつけた。
 予期せぬ刺激を与えられた響子は、「うひゃぁ!」とか叫んで文字通り飛び上がり、富美子のほうに向き直って、「い、いったいなにを……」と誰何しようとする。富美子はその響子の胸元に自分の身を投げ出し、ふさがっている両手を響子のうなじにまわして身動きが取れないようにしてから口唇を奪い、ねっとりとディープな口づけを延々と続けた。
 最初のうちこそ「ん。ん。ん」と音にならないうめきをあげて富美子の抱擁をほどこうと試みていた響子だが、二分、三分、それ以上とその状態が続くにつれて抵抗も弱まっていき、それからさらにしばらくすると、今度は、響子の方から、富美子の首に自分の腕を絡めはじめた。
 その様子を間の抜けた顔をしながら見守っていたおれは、「……帰ろうかな……」とか「……実はおれ、この場に必要ないんじゃねぇの……」とか、忸怩たる思いもちらりほらりと脳裏に駆けめぐったりしたわけだが、あきれかえってその場から去ろうとすると、めざとくおれの制動をチェックしていた富美子に手で制されたので、しかたなくソファのうえに身体を投げ出して休憩することにした。
 やがて、そのながーいキスも、体力負けした響子が、おれのすぐ横のソファの上にくたりと身体を投げ出す、という形で決着がつき、おれはといえば火をつけ損なった煙草を弄びつつ、ジト目で富美子を睨みつけるのだった。
「はい。またさっき程度には暖めておいたから、気にせず続きをどうぞ」
 にたにたと笑っておれに言い放った富美子は、気のせいか、さっきよりも肌の色艶が良くなっているような気がする。
「そんな拗ねた顔しないの。これから先は体力仕事なんだからぁ、男性のお仕事」
 おれのジト目を意に介した様子もなく、富美子は平然と言い放ち、それでもおれが動こうとしないのをみると、「じゃあ、おねぇさんが出血大サービス!」とかいいながら、ピンクローター二つをとりだして、それを医療用の固定テープで響子の乳首に固定し、容赦なくスイッチを入れる。
 びぃびぃびぃびぃびぃびぃびぃ……、という振動音が響くと、ぐったりとしていた響子は「いやぁ!」といいながらソファから半身を起こしたが、富美子はその目前におれの身体を押しやり、つまり、なにかに縋り付きたい状態になった響子の直前におれがいることになり、おれは大人のオモチャの振動によって半ば強制的に性的な刺激を与えられて興奮状態にある響子に抱きすくめられる形になった。響子は髪を振り乱しながらおれに縋り、抱きつき、いやぁ、だめぇ、ダメなの、もうダメ、などと叫びつつ、遮二無二に自分の身体のそこここをおれの裸の上半身に押しつけ、やがて、形の良い乳房をおれの胸板に押しつけてこすりつけるような感じで少し静かにしていたかと思うと、「ぁぁぁあぁぁ!」と、首をのけぞらして細く尾を引く叫びを上げ、また、くたりと全身から力を抜いてソファの上にぶっ倒れた。
「ありゃ。また、逝っちゃったかな? 響子ちゃん、ほんと、感度良すぎ」
「っつか、無茶しすぎだろ。これは」
 流石に限度を弁えてないと、と判断したおれは、ぺちり、と平手で富美子の頭をはたいた。
「みてみろ、響子ちゃんの今の状態」
 口は半開きのままで、目の焦点もあってない。当然、よだれは口の端から垂れ流しの状態で、両腕は虚空に差し出され、掌はなにもない空間を掴もうとゆっくっりと開閉していた。
「いやなんか、二人で雰囲気だしているのみたら、なんかちょっと悔しくなって、つい……」
 おれにはたかれた後頭部をぽりぽりと掻きながら、すこしばかり悄然とした様子を見せて富美子がいった。おれがそれに返答しようと口を開きかけたとき、ぐいいっ、と、下の方から凄い力で引っ張られた。なんの気構えもない状態でいきなり引っ張られたおれは体勢を崩し、よろけてなにか弾力のある温かい物のうえに倒れ込む。そのなにか弾力のある温かい物が、おれの首を強引にねじ曲げ、おれの口唇を塞いだ。ねっとりとした硬い舌が強引に差し込まれ、おれの口内を掻き回す。同時に、誰かの手がおれの下半身に伸び、ちちちち、と社会の窓のファスナーを開け、ベルトをはずし始めた。

 ──せんぱぁいぃ……。
 長々と口唇を塞がれ、それから解放された直後、おれの耳元に、いつもよりずっと甘ったるい感じになっている響子の声が聞こえた。


[つづき]
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今は亡き友の妻 (15)

今は亡き友の妻 (15)

 どうやら、後ろで縛めていたネクタイはいつの間にか緩んでいたらしい。響子は両腕でおれの首にしがみつきながら、ねっとりと熱くなった身体を密着させている。それだけでは飽きたらず、両脚でおれの胴体を締め付け、身体全体でおれを求めていることを主張していた。響子の身体全体が、熱く火照っている。
「お。響子ちゃん、火が着きました」
 背後で、冨美子が、無責任にそう呟くのが聞こえた。
 おれは二人分の体重を支えきれず、どさり、と、ソファの上に身を投げ出した。高級なソファなので、この程度の衝撃はなんなく吸収する。
「あの人がいなくなっても、とても寂しい思いをしても、……」
 相変わらず火照った手足をおれに巻き付けたまま、それでも響子は一旦、おれの口唇から自分の口唇をはなし、耳元で囁くようにいった。
「……それでも、お腹は空くんです。男の人が欲しくなることも時々あるし、自分で刺激すれば興奮します」
 ──そんな自分が、時折、ひどく浅ましく思えるんです。
 と、響子は、熱い吐息をおれの耳に吹き付けるようにして、囁いた。その目は、たぶん、性的な興奮のためだけではなく、潤んでいて、言葉の切れ目に、嗚咽にも似た吐息がまざる。
 ……だぁから、そういう湿っぽいの、趣味じゃないんだってば。
 そう思ったおれは、そっとため息をついて、
「富美子。おれは服を脱いだほうがいいのか?」
 と、背後にいる、今回のことを仕組んだ女に聞いた。富美子は「勝手にすれば」と、どこかふてくされたような口調で答えた。背後にいるのでその姿は見えないわけだが、素知らぬ顔をして明後日の方にでも視線を向けているのだろう。わざとらしく。
 ……このアマは……。
 おれは響子の肩に手を置いて、そっと響子の身体を引き離し、上着を脱いで、それを富美子に手渡す。ワイシャツと肌着も脱いで、これはソファの背もたれのうえに適当に置いた。剥き出しになったおれの上半身を間近にみて、響子は息をのんだ。
 ──この傷ねえ。たしかに、外目にはたいしたもんだとおもうけど、何分、今は全然痛まないし、ガキの頃に負ったもんだし、本当に痛い頃のことは全然覚えてないのよ。むしろ、何回かの手術とか、その後のリハビリとかで苦労したこと、とか、義務教育の時期に何年かブランクが空いちゃったことのほうが辛かったなあ。ほら、あれ、今でこそそうでもないけど、ガキの頃は、おれ、病院暮らしの強弱体質だったし。あとね、その後の、親類とか施設とかたらい回しにされた時期のほうの苦労のが、まだしも強く記憶に残っている。そういう経済的な苦労というのは、まあ、響子ちゃんには分からないだろうから、説明せんけどな。定時制の高校出た後、なんとか奨学金貰える資格クリアできたんで大学いって、そこで良樹とか富美子とか君に会った。
 なるべく軽快な口調で語ることを心がけたが、成功したかどうかは、分からない。響子の表情は、硬った。
 ──おれ、この傷を負ったときに両親も亡くしたわけだけど、そのときのこと、両親のこと、ほとんど覚えていないんだ。でも、それでいいと思っている。これは病院暮らししていたときに聞いたはなしだけど、人間の身体の細胞なんてなは、新陳代謝とかで、特殊な部位を除けば、せいぜい、数ヶ月で全身の細胞が入れかわっちまうそうだよ。人間なんて、変わらないようでいて、せいぜい数ヶ月でほとんどまったく新しい物質に入れ替わる。だから、おれが両親のこととか、この傷のこととか、そういうのを覚えてないとしたら、覚えていないことのほうが都合いいんだ、とか、病院の人に言われた。今にして思えば、たぶん、カウンセラーの人だったのかな。ようするに、いつまでも過去を引きづるなってことなんだと思うけど……。
 しきりに喉が渇く。煙草が吸いたい。そんなことを思いながら、なおも、おれは言葉を継いだ。
 ──だから、その、忘れろ、とは言わない。言わないけど、過去のことは過去のこととして、その、もうすこし、今、それにこれからのことに、ちゃんと向き合ってもいいんじゃいかな、きみは……。
 ぽん、ぽん、と、響子の頭に手をのせる。それだけの事を告げるのに、とても労力を使った気がする。こういう役割は、おれの柄ではない。
 おれの長々とした説明を聞きながら、響子は、あっけにとられた顔をして、おれの胸に縦横に走っている幾筋もの縫合痕を指先でたどっていた。
 ──おれが、大学の同期の人たちより何年分か年をくっていたのは、まあ、そういうわけで、バイト先でも一緒だったこともあるけど、そのおれとタメ付き合ってたほとんど唯一の男が良樹で、大学以前でも、どこでも、おれは異分子だったから、良樹ほど仲良く慣れた人間はいなかったし、おれの裸みてなにも言わずに受け入れた初めての女が富美子で……。
 ああ。くそ。こんなに長くしゃべるのは滅多にないことだから、どんどん、話しの内容が支離滅裂になっていく。どう締めようか、誰でもいいから話しを止めるきっかけを作ってくれないかと思い始めたとき、
「先輩」
 と、響子が潤んだ瞳でおれの目をまともに見上げて、いった。
「そうですね。過去は、過去にしないといけないんですよね」
 やれやれ。
 でも、湿っぽいのは苦手だから、泣き出すんじゃないぞ、と心中で祈っていると、案の定、響子は、おれにそっと抱きついて、危惧した通りに静かに嗚咽を漏らしはじめる。だが、まあ、話しの流れから言ったらら、これもしかたがないか……。
 と、響子の肩をあやすように叩きながら、ふと視線を上げたら、富美子が、抱き合っているおれたちを、ビデオカメラで撮影しているのが目に入った。
 ……おれは、そのレンズに無言のまま中指を突き出してみせる。

 本当に、やれやれ、だ。


[つづき]
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今は亡き友の妻 (14)

今は亡き友の妻 (14)

 このようなとき、素に戻るととても気恥ずかしいというのはよく分かる。しかし、手足を丸めて(いや、正確にいうと手は後ろでネクタイ縛りされたまんま、なのだが)、可能な限り縮こまってソファの上でおれに背中を向けて、全身で恥ずがっていることを表現している響子は、なんというかどうにも子供っぽくて可愛らしく、こういうシュチュエーションでなければ頭のひとつも撫でてやりたい気持ちにさせられた。
 かわりにおれは持っていたビデオカメラを再び三脚に据え直し、出しっぱなしになっていた半勃ちになったモチモノもスラックスの中に収納して、煙草に火をつけて一服することにした。紫煙を吸い込みながら、ビデオカメラの液晶ファインダーを見ると、背を丸めた響子の身体がちょこんとソファに乗っかっていて、あまりエロチックとはいえないものの、これはこれで絵になる構図だよな、とか、漠然と思う。
 そんな休憩時間をしばし満喫していると、
「はーい! あったあったありました。夫婦の寝室のベッドの下、という非常にベタで分かりやすい場所に!」
 とか喚きながら、どたどたと騒がしく冨美子が居間に駆け込んでくる。その冨美子の声が聞こえた途端、丸まったままの響子の背中に、震えが走った。
「夫婦のお宝、ゲットだぜ!」
 冨美子の掌には、ピンク・ローター、おれのの一・五倍はあるのではないかと思われる黒光りする巨大なヴァイブレーター、チューブ入りのナニか(媚薬? ローション?)などのアダルトグッズがてんこ盛りになっていて……。
 内心、
 ──おいおい。良樹ちゃんよ、お宅らいったいどういう夫婦生活送ってたんだよ……。
 とか、思わないでもなかったり。
「すごいね。響子ちゃん。こんなのわたしでも入らないよ。これ入れてるの?」
 固まっているおれと響子には構わず、冨美子は持っていたグッズ類をざらざらとテーブルの上に持ち上げ、その中でもひときわ大きい、黒塗りの巨大なヴァイブレーターを取り出し、弄びながら、感心したように声を上げた。
「あ。スイッチ入った。わ! 凄い振動」
 興味津々、といった感じで、きゃいきゃい騒いでいる。
「さて、せっかく持ってきたんだから、使ってみましょうかね」
 わざと、おれはのんびりとした口調を作って、グッズの山の中から適当にローターを取り出し、コードが伸びている楕円形のそれを握りながら、もう一方の手でスイッチを入れてみた。
 む。たしかに、凄い振動。
 ぶぶぶぶぶ、と、鈍い音を立てて振動する物体のコードを持ってそれを垂らし、相変わらず背を丸めておれたちの視線を避けている響子のうなじに辺りに降ろしていく。耳の後ろあたりにその物体が当たると、響子の身体は、大仰なほど、震えた。
「やっぱり響子ちゃん、敏感」
 一方、冨美子は、遠慮する性格でもタマでもないとばかりに、手に持っていた巨大黒ヴァイブを、響子の背筋にあてて、後ろから、ふーっ、と、わざとらしく、響子の耳に息を吹きかけた。
 おれたちが二人がかりで振動グッズを使い、響子の敏感そうな部分のそこここを責め立てていくと、やがて我慢しきれなくなったのか、響子は身を起こし、
「もう! いい加減、やめて……」
 と、叫びかけたが、その言葉は、途中で容赦なく塞がれた。
 ……冨美子が身を起こした響子の胸に飛び込み、強引に、自分の口唇で、響子の口唇を、塞いだのだ……。わが妻ながら、頭が痛い。
 なんでおれはこんなのと籍をいれたのだろう?
 冨美子は響子の口内を自分の舌で犯しながら、持っていたヴァイブレーターを使うことも忘れず、それを響子の乳首とか腹とかもっと下の部分とかに押し当て続ける。目で合図して、おれにもそうしろと、即す。
 響子の抵抗はすぐに弱まり、ほとんど冨美子のなすがままになってきたこともあって、おれは持っていたローター響子の肌に押し当てて、冨美子に協力することにした。
 冨美子が響子を犯していたのは、実際には多分、一分もしないくらいの短い時間だったと思うのだが、そばで見ていたおれにはかなり濃密に感じられたもんだ。いや、自分の嫁さんが旧知の同性の知人を襲う現場に居合わせた男も、かなりレアだと思うし。とにかく、その、一分にも満たない時間に、冨美子は持っていた巨大黒ヴァイブを、響子の股間に押し当てていた。
 そこまでくれば、もはや響子にも抵抗するだけの心理的余裕は残されていないわけで、というか、もう、冨美子が口唇を放して身を起こしても、響子は、何ともいえない切なそうな表情をして、いやいやをするように首を横にふることくらいしかできなかった。たぶん、強制的に送られてくる性的な刺激を耐えるのに、精一杯だったんだと思う。
「はいはい。もっとひっついて」
 響子から少し距離をとった冨美子は、ピンクローターを響子の乳首に押し当てていたおれの肩をどやしつけるようにして、響子の方に押し出す。
「これからは、あんたとあんたの肉棒が必要になるんだから、ちゃんと働きなさいよ」
 などと、身も蓋もない言い方をする。冨美子に押されて姿勢を崩したおれは、ソファの背もたれに手をついて、響子の上に覆い被さるような恰好になっている。
 しばらくは誰もなにもいわず、無言の室内に、ぶぶぶぶぶ、びゅいんびゅいんびゅいん、というアダルトグッズの作動音だけが、響く。

 もうだめぇ、と、いいながら、響子が、おれの首に自分の腕を巻き付けて、おれの口唇を塞いだのは、それからしばらくしてからだった。


[つづき]
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今は亡き友の妻 (13)

今は亡き友の妻 (13)

 響子はおれのものを口に含んで前後させたが、口に含んで動かしているだけ、という感じで、力の加減を知らないのか、恐る恐る、といった感じで、緩く閉じた口唇だけで刺激を受けても、少しも気持ちよくない。響子は、舌や歯を使うことも知らないようだったし、動き自体が不器用でぎこちなく、全然洗練されたものではなかった。年中仕事仕事で飛び回っていた良樹しか男を知らない、というのは、たぶん、本当のことだろう。
 それでも、響子のような女が自分から咥えてくれている、という事実だけは、おれにとっては充分に刺激的であったわけだが……。
「響子ちゃん、本当にヘタねぇ」
 しかし、冨美子は横合いから口を出す。
「そんなんじゃ、ちっとも気持ちよくならないわよ。良樹で練習しなかったの?」
 ぷはぁ、という感じで、響子はいったんおれのものから口を放す。
「……良樹さん、あんまりこういうの好きじゃなかったから……」
 そして、ビデオのレンズ越しに上目使いにおれの目をのぞき込み、
「先輩、これじゃあ気持ちよくないですか?」
 と、首を傾げてみせる。
 一瞬、液晶モニタ越しに観た、その響子の挙動にくらくらっと来たが、おれは精一杯平静を装いつつ、
「あー。もっと強く噛んでもいいよ。強すぎると痛いけど、適度な刺激はかえっていい」
「強弱をつけたり、竿とか鈴口とか、部分的に責めるのもありだな」
 とか、適当にご託を並べてみる。
 すると、
「……こう……ふぉうですか?」
 と、響子は、言われた通りのそのままのことをそのまま試しておれの反応を伺う。その素直さに感じ入ったのか、冨美子も、
「もっと舌を使って」
「たまには玉とかを口に含んでみるのもいいかも?」
 とか口を挟みはじめ、どうした加減か、おれたち夫婦で響子に「実践フェラチオ講座」をやっているような案配になった。

 ……っつうか、マジで、なんでこういうノリになる??

 そんなこんなで、それから二十~三十分くらい、おれたち夫婦になんだかんだいわれながら、響子はおれのナニを練習台にして頑張っていたのだが、そのうちに段々と疲れが溜まってきたらしく、
「ふわぁ」
 と、ついにおれのイチモツから口をはなし、どさり、と、自分の身体を後ろに倒し、ソファのクッションに体重を預け、いった。
「すいません。わたし、口が疲れました」
「イヤイヤイヤ。ご苦労さん。でも、最後のほうは結構いい線いってたよ。うん」
「あとは練習あるのみ、ね。しっかし、響子ちゃん、本当に経験なさそうねぇ。良樹、本当にほったらかしにしていたんだ……」
「……あの人……」
 横になりながら、響子はいった。
「あまり帰ってこなかったし、帰ってきても疲れてて、すぐ寝ちゃう事が多かったし……」
 ……やばい……少し涙声になってきている。
 こんな場面で湿っぽくなるのはイヤだぞおれ、と、思い、冨美子のほうをチラリと観ると、ちょうど目があって、微かに頷いた冨美子は、ソファの上に仰向けに横になっている響子にしなだれかかるように寄り添い、耳元に囁くように、
「その割には、感じやすいじゃない。響子ちゃん」
 といいつつ、響子の乳首のほうに手を伸ばした。
 冨美子の指先が少し触れただけで、響子の身体が、びくん、と、震える。なるほど、感じやすい。
「良樹にあまり相手にされなかった響子ちゃんの身体が、こんなに開発されているのは何故かなぁー」
 とかいいつつ、冨美子は乳首だけにとどまらず、もっといろいろなところを触りはじめる。響子はといえば、おれが後ろ手にネクタイで両手首を縛めたまま仰向けに寝そべっているわけで、その状態ではろくな抵抗もできるはずもなく、なすがまま、弄られるがままで、細い声を上げたり身体を震わせたりしている。
 ……ひょっとして……。
「自分でやってた、とか?」
 冨美子の一方的な愛撫をビデオに収めながら、おれは容易に思いつく可能性を指摘すると、
「もう! デリカシーのない野郎はこれだから。女の子に面と向かってそういうこと言わない!」
 と、冨美子が即座に反応する。その年齢で「女の子」は少し図々しいんじゃないか?
「でも、響子ちゃん、自分自身でやってたんでしょう?」
 さらに問いつめるし。しかも責める手を休ませてないし。
 当の響子は、見ていて可哀想になるくらい全身を朱に染めて、「あうぅぅぅ」、とか可愛い声を上げて返答を避けている。まあ、実際に休む間もなく続けられる冨美子の愛撫に、感じまくっている、というのもあるだろうが。なにせ同性同士だから、感じるポイントわきまえているわけだし。
 ……後で、いま収録しているこのビデオをダビングして持ち帰って、今後の夫婦生活の参考にしようかな、とか、半ば本気で思いながら、ふと思いついて、
「あれ、良樹のことだからさ、『ボクのいない間、どうしても寂しいときは、これつかって』とかいって、道具渡してたりして……」
 と、ぽつりといったら、
「ありうる!」
 大声で賛同し、それどころかガバリと身を起こして、
「優しくて、用意周到で、気配りもそれなりにするけど、時折その方向性をとんでもない方に勘違いさせる良樹の性格! そう考えると、絶対にあるはず!」
 冨美子は叫んで、「ちょっと後退。証拠、探してくる」と、怒濤の勢いで去っていった。

 おれが覗き込んでいるビデオカメラの液晶の中で響子は、ソファの上で真っ赤になってほぼ全裸の身体を一生懸命小さくしようと、もぞもぞ藻掻いていた。
 ……どうやら、かなり、恥ずかしがっているらしい。

 図星、なのか?


[つづき]
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今は亡き友の妻 (12)

今は亡き友の妻 (12)

「結構大きいでしょ。どう? 良樹のと比べて?」
 富美子はいった。良樹の名前がでると、響子は一瞬冷静になったのか、少し真剣になった顔をした。
「こいつ、スロースターターだけど、一度勢いがつくと持続力結構凄いし。試してみない」
 ──いや、一回貸すだけで、あげないけどね、これ。
 と、おれの肩を叩いてつけ加え、富美子はチロリと舌をだした。
 ……このようなとき、おれは夫としてどのように反応すれば良いのか?
「響子ちゃんのここは、すっかり欲しがっているようですけどねー」
 といいながら、富美子は、おれの背中側でくちゃくちゃと水音をたてはじめる。そちらのほうはおれの背後になるので視界に入らないが、響子が、また、「う。あ。う。う。う」と声をあげはじめている。富美子がまた、響子自身を直接刺激しはじめたのだろう。
 おれがその様子を確認するため、液晶テレビのあるほうに向き直ろうとすると、
「あ。ちょっと待ってね。その前に、……」
 と、富美子は一旦、響子から身を離す。
 おれの股下にある響子の顔は、さすがに疲労を隠せない様子だったが、顔の血色もとてもよく、今日、久々に響子の顔を見たときに感じた、どこか蔭のある感じは、確かに払拭されているようにみえる。
「はい。これからはあんたが撮って」
 富美子は、肩越しに三脚から取り外したビデオカメラを、おれに渡す。
「響子ちゃん。恥ずかしかったらなにもいわなくていいけど、欲しくなったら遠慮なく、今あなたの目の前にあるものを取り出して使ってね」
 響子は目を閉じて息を整えていたが、しばらくして、意を決したように自分から首を起こし、
「……せん、ぱい……」
 と、掠れた声で、ぽつり、と、い呟いた。
「ごめんなさい。わ、わたし、もう、我慢できない。これ、……」
 いって、おれの股間部のファスナーにとりつき、それを口で降ろしはじめる。
 おれが除くビデオカメラの中では、恍惚とした表情を浮かべた響子が、ジジジジ、と、音をたててファスナーを降ろしていく。
「これ」
 口でおれのファスナーをすっかり降ろし終えた響子は、陶然と呟いて、自分の鼻面を、開いたおれの股間部につっこむ。
「これ、この匂い……欲しかった……いろいろされているうちに、あの人としているときこと、すっかり思い出して……」
 鼻と顎と舌でおれの下着をかき分けて、おれの性器を露出させると、「あなた、ごめんなさい」といって、ぎゅっと目を瞑り、すっかり怒張しきったたおれのものを口に含む。


[つづき]
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