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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(409)

第六章 「血と技」(409)

 期末試験も折り返しになる三日目の朝となった。
「ちょーしはどうだ? おにーさん?」
 荒野は朝っぱらから元気がいい飯島舞花に、もの凄い勢いで背中をはたかれる。
「……調子は……まあ、いつも通りだな……」
 苦笑いを浮かべながら答えた荒野は、舞花の後ろに栗田の小柄な姿を認める。栗田は、荒野と目が合うと、軽く会釈した。
「って、彼。
 またお前のところに泊まったのか?」
 舞花の家に栗田が泊まりにくるのは珍しいことではないのだが、一応、週末とか休日に限定していて、平日に……というパターンは珍しい。
「ああ。本当はアレなんだけど、今日の試験がかなり自信なかったみたいだし、うちのおやも仕事でいなかったし……でな。
 まあいいじゃん。どうせ、あと三日持ちこたえればすぐに休みに入るんだから……」
 舞花が、屈託のない笑顔をみせる。
 舞花にとっては、期末試験を苦に思うよりも、近づいてくる連休への期待の方が大きいらしかった。
「……ずいぶんと、機嫌がよさそうだな……」
 この分だと、舞花たちは昨夜もお楽しみだったのだろう……と、そちら方面にはどちらかというと鈍感な方の荒野でさえ、思ってしまう。
「ああ。
 まあ、飴と鞭っていうか、勉強をしながらいろいろとやてったら、どちらからともなく火がついてその、盛大に、な」
 ……こいつらは、悩みがなさそうでいいなぁ……と、荒野は思った。

 マンション前でそんなやりとりをしているうちに、隣の家から香也、楓、孫子の三人が出てくる。樋口明日樹と大樹の姉弟も合流して、いつものように通学を開始する。
「で、そっちはどうなの?」
 荒野は、歩きながら、樋口明日樹に話しかけてみた。
「期末の方は?」
「どうって……まあ、ぼちぼち」
 明日樹は眠たげな表情で答える。
「今のところ、大きな失敗はしていない……と、思うけど……」
 自信があるとかないとかではなく、「失敗がない」と答えるあたりが、慎重で真面目な明日樹らしいかな……と、荒野は思う。
「ずいぶんと眠そうだな。
 玉川みたいに、徹夜でもやっているの?」
 重ねて、荒野は聞いてみる。
 荒野がイメージする明日樹は、学習も計画的に進めるタイプであり、一夜漬けのようにあぶなっかしい真似は似合わないように思えた。
「……玉川ほど、極端ではないけどね……」
 明日樹は、苦笑いを浮かべる。
「……進路のこと考えると、今回の期末、重要だからさ……。
 心配で眠れない、っていうのと、それだったら眠れない時間を勉強に回した方が……って感じで……。
 って、いっても、いつもより三時間くらい、睡眠時間が少なくなっている程度なんだけど……」
 なるほど……と、明日樹の返答に、荒野は納得する。心配で眠れない……というのは、例えば舞花ほど楽天的な性格をしていない明日樹には、ありそうに思えた。

「……そこいくと、こいつは……」
 商店街のところに立っていた玉川の前で、荒野は掌をひらひらとふってみた。
「おーい。
 起きてるかぁ……。
 みんな、合流したぞう……」
 荒野が少し大きな声を出すと、
「……はっ!」
 っと声を出して、玉川の全身が震える。
「……あっ……ああっ……」
 玉川はのろのろとした動作で荒野たちの方に顔を向けた。
「……おはよーさん。
 みなさん……」
 玉川の声はかすれていた。それに、顔色の方も……昨日と比較しても、悪化しているように思う。目の下のクマは色濃く、顔色は紙のようだった。
「立ったまま、寝ていたのか? お前……」
 荒野は、かなり呆れていた。
「お前……昨日も試験中、半分くらい寝てただろう?
 一夜漬けもいいけど、そんなんじゃ意味ねーんじゃねーのか?」
「……だいじょーぶ、だいじょーぶ……」
 玉川は、ずいぶんと間延びした口調で答える。
「……いつも、こんなもんだから、試験の時は……。
 寝てたのも、解答書いてから、寝ているわけで……だって、早く答え書かないと頭の中から消えちゃうから……」
 だんだんと声が細くなっていき、終いには、玉川はその場に立ったままうつむいて、すーすーと寝息をたてはじめる。
「……器用なやつだな……」
 荒野は、関心した。
「ちょっくら、気合いをいれますか……」
 舞花が荒野の体を押し退けて、玉川に近づく。
「……おはよー!
 たっまがわぁー……」
 とかいいながら、舞花は大きく振りかぶった掌を、盛大に玉川の背中に打ちつける。
 ばちーん、と大きな音がして、玉川は「ひゃっ」とか短い悲鳴を上げながら、前につんのめった。
 そのまま転ばないように、荒野が玉川の肩に手をかけて、支える。
「……ったぁ……」
 玉川が、情けない声をだした。
「朝の挨拶だ、挨拶」
 舞花は屈託のない笑顔を浮かべて玉川を見下ろす。
「目、覚めただろう?
 これで覚めてなかったら、もう一発気合い入れるけど……」
「……あー。
 もう、いい! 十分!」
 玉川は、荒野の背中に回り込んで、舞花から逃れた。
「目が覚めましたです。はい」

「そっちのおにーさんと、そこの少年」
 目を覚ました玉木が、荒野と香也を順番に指さす。
「……だぶるかのうこうや。
 放課後、佐久間先輩に個人教授してもらっているでしょ?」
「人を、指さすな」
 荒野は答える。
「それから、先輩はおれと狩野君の二人に教えてくれているわけだから、個人教授とはいわないと思うけどな……」 荒野と茅、それに沙織は、一昨日から一緒に下校してそのまま荒野のマンションに直行しているから、それなりに目撃されていたとしても、別におかしくはない。
「……おそらく、茅ちゃん経由で先輩が出てきたんだろうけど……。
 ずるいぞ、成績優秀な先輩を独占して……」
 玉木は、そんなことをいいだす。
「そういう文句は、普段から努力をしている者がいうもんだ」
 荒野は、相手にしない。
「他にもお客さんが来ているし、うちのマンションにはこれ以上、人は呼べない」
 玉木のことだから……おおかた、沙織にねだって出題傾向をリークしてもらおう……とでも、考えているのだろう。だが、沙織の祖父の源吉のことがあるので、これ以上、人は増やしたくない……というのが、荒野の本音だった。源吉は、どうも当初よりあの会合を楽しみにしている様子だったし、源吉と対面する人数は、制限しておいた方がいい。
 

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彼女はくノ一! 第六話 (150)

第六話 春、到来! 出会いと別れは、嵐の如く!!(150)

「……んんっ……。
 はぁ。はぁ。はぁ……」
 香也の上に覆い被さった孫子が、香也の指を自分の秘処に押し当て、擦りつけている。
『……うわぁ……』
 香也は口にこそださなかったが、内心で驚きの声をあげていた。
『ここ……どんどん……奥から……濡れてくる……』
 香也の指を使用して、孫子が自慰をしているような状態だった。
「……ごめんなさい……。
 んはぁっ! ごめんなさい……」
 孫子は小声で、譫言のように繰り返していた。
 香也をないがしろにして自分だけの悦楽にふけっているいる……という自覚はあるのだが……。
「……指が……んんっ。
 き、気持ちよくて……と、止まらなくて……はぁ。はぁ。はぁ……。
 い、いけない……こ、こんなはしたないの……。
 んっ! んんっ!
 あっ! あっ! ああっ!」
 途中からぱくりと開いた孫子自身の襞の中に、香也の指が半ば埋もれているような状態で、香也に許しを乞いながら、孫子は激しく香也の指を動かし続け……ついには、ひときは大きな声をだす。
 そしていきなりぐったりと全身の力を抜き、香也の上に倒れ込んだ。
『……いっちゃった……かな?』
 途中から放置された形になった香也は、他人事のようにそんな感想を持つ。
 孫子の体も息も、熱い。
 これだけの至近距離で孫子の狂態を見せつけられ、感じるところがない……といえば、それは嘘になるわけだが……孫子が没入してしまった分、香也が冷静になってしまった……ということは、あった。
『……女の人って……』
 その気になっていると、あそこからこんなに水分がでてくるのか……と、香也は冷静に観察している。孫子のソコから溢れてきた液体は、香也の手指とスェット、下着まで
を濡らしている。孫子自身は、途中からスカートを腰までまくりあげていたので、濡れたのは下着くらいのものだった。
 その孫子は、火照った体を完全に香也に預け、満ち足りた表情を浮かべていた。
「……こんな……」
 しばらくして、孫子は香也からは自分の顔が見えないように首を巡らし、蚊の鳴くような小声でつぶやきはじめた。
「……こんな淫らな子は……お嫌いですか?
 わたくし……途中から、が、我慢できなくなって……止まらなく……」
 孫子の耳が、真っ赤だった。
「……んー……」
 香也は、ゆっくりとした口調でいう。
「別に、嫌い……ということは、ないけど……ぜんぜん……」
 おいてけぼりになった感はあるものの、それで孫子を嫌う……という発想は、香也にはない。もちろん、快楽に耽る孫子の姿は「……えっちだ」とは思ったが、そんなことを孫子本人にいえるはずもない。それに劣情を催した、ということでいうのなら、香也に孫子を責める資格はない。孫子は片手で軽く握っていただけで強い刺激は与えられていないのだが、香也の分身は今までずっと継続して硬度を保っている。
「……たとえそうであってもっ!」
 不意に「がばっ!」と顔をあげて、孫子が顔を真っ赤にして香也に迫る。
「……香也様にご奉仕するといいながら、香也様を差し置いて一人だけで、み、淫らなことに耽っていたことは、許されることではありません! ええ、そうですとも! 例えプレハブのときからずっと股間がむずむずしていても、お風呂場で香也様に愛玩されたとき指よりももっと太いものでもっと乱暴に思う様犯されたいと思っていても、そんなことは香也様をないがしろにしていい理由にはなりません!」
 なんだかわけがわからないけど、妙に高いテンションで孫子はいっきにまくしたてる。
 ……半分くらいは、恥態を見られた照れ隠し……なのかな? と、孫子の取り乱しようをみた香也は思ったが、それにしてはもっと恥ずかしい内容を自分自身で告白しているような気もする。
 もう少しして頭が冷えてから、孫子は自分の言動を冷静な目で思い返して一人ひそかにのたうちあわるのではないか……と、思わないでもなかった。
 孫子は、普段の澄ました様子とこうして変なテンションになっているときの言動とが、あまりにも格差がありすぎるような気もする。
「香也様も! こんなに熱く硬く脈打って……」
 孫子が、それまで片手で軽く握っていただけの香也のモノを上下にしごきはじめる。
「その……殿方がひとりで慰めるときは……こう、なさるのしょう?」
 確かに孫子は、いろいろと予習してきたようだった。
 最初のうちはおそるおそる、といった感じで、ゆっくりと香也のモノをしごいていた。が、すぐに慣れたのか、孫子の手の動きは、いくらもしないうちに早くなっていく。
「……ちょっ……」
 香也と孫子とでは運動性能が違うとこ事なのだろうか……かなり、はやい。孫子はそっと、軽く握っているだけなので、孫子の動きが早くなっても、あまり痛いとは思わなかった。実際に女性の中に入っているときや自分自身でするときとはまた微妙に違う刺激を得て、香也はすぐに情けない声を出す。
「ちょと……そんなにされたら、すぐに……」
「そう……ですわね」
 孫子は少し惜しむような表情をしながら、香也のモノから手を離した。
「ここまで来てすぐ終わってしまうのは……少し……。
 いや、かなり……惜しいですわね……」
 一瞬、孫子は本当に惜しそうな顔をしたが、すぐに表情を切り替え、香也のスェットの下と下着を、一気に引き下ろして下半身をむき出しにし、その上にまたがる。
「は、はしたないことですけど……」
 香也の上に乗った孫子は、とろんとした目つきで香也を見下ろす。
「わたくし……香也様のこれが……。
 夕方のプレハブのときから……いいえ。
 もっと前から……。
 ずっと、ずっと……欲しかったんですのよ……」
 潤んだ目つきで香也を見下ろしながら、孫子は腰を前後に動かし、自分の下着の濡れた部分を、硬直した香也のモノへと擦りつけはじめる。
「……んっはぁ……。
 香也様の、硬いのが……わたくしの……に……当たって……」
 いったん、腰を動かしはじめたものの、孫子はすぐに動きを止めた。
「……これ……気持ちよすぎます……。
 ……このままでは……すぐに……」
 動きを止めた孫子は、香也の上にまたがった状態で自分の下着を横にずらし、硬直した香也のモノの先端を、自分の入り口に導いた。


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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(408)

第六章 「血と技」(408)

「でも……大丈夫なんですか?
 そんなに大がかりに動員しちゃって……」
 荒野は、半ば警戒している。
 いくら、自発的な協力、とはいっても……限度というものがある。静流が話すような広範囲に及ぶ捜索、となると……参加する人数も、必要となる費用も……それなりに、膨大になるはずだ。
 それを、厚意でで……の一言で済まされると思えるほど、荒野は世間知らずでもなかった。
「そ、それが……その……」
 静流は、そっと顔をそらした。
「……み、みなさんが……ですね……。
 昨夜、ず、ずいぶん、盛り上がっちゃって、ですね……。
 な、なんか……わ、若のお役にたって……野呂を盛り上げよう、とか……だ、誰かがお、とおうさまにまで連絡しちゃって……と、とうさま、ノリノリで、資金提供まで約束してくれて……」
「……本家の……静也さんか……」
 静流の父、当代野呂の当主である静也とは、荒野も面識がある。ひとことでいうと、軽率な人だった。術者としては一流だが冷静な判断能力が期待できない……ということで、本家直系でありながらも野呂の組織経営からはずされている、という噂も聞いている。
 つまり、おとなしい性格の静流とは正反対に、お調子者で騒がしい人だった。
 おおかた……若い者に電話かなにかでたきつけられて、ノリノリで協力を約束してしまったのに違いない。
「……おれ……二宮との勢力争いの、口実にされていますね……」
 荒野は、吐息をつく。
 この狭い地域に数十人単位の野呂系と二宮系がつめこまれていて、しかも具体的な仕事をなにも与えられずに無為の日々を送っている、という現状を考えれば、そうした示威行動が発生するのも不思議ではない。人間とは常に味方と敵を区別する社会的な生物であり、一族もかろうじてその人間の範疇に入っている。
「す、すいません……」
 静流が、荒野に軽く頭をさげた。
「静流さんがあやまることは、ないですよ」
 荒野は、苦笑いを浮かべた。
「こちらが助かるのは、確かなわけですし。
 それに、今の状況だと、遅いか早いか別として、こういうことはいずれ起こったと思いますし……」
「そ、それはそうなんですが……。
 そ、それとは、別に……とさまに、からかわれまして……」
 静流は、顔を伏せている。
「その……わ、若とのことを……」
「ああ……」
 荒野は、視線を上にそらす。
「そっか……。
 そういうことにも、なるんだな……」
 野呂の協力的な対応は、静流を通じて、野呂と加納とのパイプを太くする……という、「投資」の意味合いもあるのだろ。荒野としては、それくらい打算的な方が、かえって安心できるくらいなのだが……それとは別に、茅の視線が痛い。
「……か、茅様のお邪魔を、これ以上、するつもりはないので……」
 静流はおどおどした口調で、茅に軽く頭を下げた。
「わ、わたしは、こんな身ですから……せめて、強い子を残すことしかくらいでしか、の、野呂に貢献できないので……」
 自分のサングラスを指先でこつこつ叩きながら、静流はそんなことをいう。
「お、お目こぼしいただければ……」
「いいの」
 茅は、短く答える。
「荒野を独占するつもりはないの。
 荒野とそうなっているのは、静流だけではないし……」
 気のせいか、口調がいつもより少し硬い。
「まあ……おれ、種馬なわけだし……」
 荒野は、場の雰囲気を柔らかくしようとして、わざと軽薄な口調を演じる。
「……今の時点では、ほかに売り物がない若造だし……」
「ご、ご謙遜を……」
 静流は、きっぱりとした口調で応じた。
「わ、若は……荒神様を除けば、おそらく……」
「その、強さってやつなんだけどさぁ……」
 荒野は、かすかに眉をひそめた。
「……今時、あまり価値はないんじゃないかなぁ……。
 単純な破壊力なら、生身が機械にかなうわけはないんだし……一族の中だけで、序列を競ってもあんまり意味がないってぇか……」
 そうした序列にあまり興味を持っていない。いや、もてない……というのは、荒野の本音でもある。体はできあがっていたにしろ、幼少時から修羅場に放り込まれてきた荒野には、「破壊行動や暴力で解決できること」の限界を、むなしさを、間近にみてきていた。肌で知っている、といってもいい。
 だから荒野は、「強さ」には、あまり価値をおいていない。
「……わ、若は、それでもいいと思うのですが……」
 静流は、優しい口調でいった。
「そ、それでも……。
 一族は、昔から……そういう物差しで、動いているのです……」
 荒野一人が否定しても……一族のありようが変わる、ということはないだろう……と、静流の口調が語っている。
「まあ……そうなんですけれどね……」
 静流にしてみれば……一族の現状に対して、公然と不服を漏らす荒野の態度が、子供じみてみえるのかもしれないな……と思いつつ、荒野は苦笑いを深くする。
「おれみたいな半端者が、こうして祭り上げられているってことが……すごい、皮肉だな……って思って……」
 荒野の思想や行動は、どちらかといえば旧来の一族のあり方には批判的である。にもかかわらず……いや、だからこそ、かえってこの土地に人が集まってきている、という現在の状況。
 皮肉で、逆説的だよな……とは、荒野は常々思っている。
「わ、若は、そのように、ご自分のことも客観的にみることができますから……」
 ……そういう人は、道を踏み外すこともできないのです……と、静流は続ける。 
 静流のその言葉は、まるで予言か呪言であるかのように、荒野の胸中にこだました。

「荒野には荒野の都合や事情があるように……」
 静流が帰って二人きりになると、茅は荒野にそんなことをいいはじめる。
「……大人たちには大人たちなりの、都合や事情があるの」
「……それくらいのことは、わかっているけどさ……」
 荒野は、少し憮然とした表情になっていたのかもしれない。
 普通の社会生活を営みはじめてからまだ日の浅い茅よりは、荒野の方が世間知も、それだけある……と、荒野は考えている。
「荒野は、表面的には理解はしているけど、まだ実感できていないの」
 茅の追求は、思いのほか、厳しかった。
「例えば、荒神のこととか……荒野は、自分の印象や想像だけが、すべてだと思っているの。
 荒野は、他の人より多くのことを見てきたし、今、より広い部分を見渡せる位置にもたっているけど……そこから見えるものばかりがすべて、というわけではないと思うの」



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彼女はくノ一! 第六話 (149)

第六話 春、到来! 出会いと別れは、嵐の如く!!(149)

「香也様も、わ、わたくしも……がんばっていますよね! 最近!」
 孫子が前のめりになって、香也に顔を近づけて力説する。香也の手を握ったまま、ぶんぶんと振り回したりして……。
「……ん……」
 香也は、うなった。
『なんで、才賀さんは……』
 普段は冷静すぎるくらいに冷静なのに、こういうときだけテンションが高くなるのだろう……と、香也はどこか他人事のように、思っていた。
「が、がんばって……いる?」
 語尾が疑問系に跳ね上がってしまったのは、起業、学業、香也の面倒……と、平行しながらどれも手抜きがない孫子については異論の挟みようがないのだが、こと、自分のことに関していえば、あまり現実感がわかないからだった。香也は最近の自分についても、「なんか、みんなに引きずられてやっている」程度にしか考えておらず、「自分が」がんばっている、という実感を少しも持てずにいた。
「がんばっていますっ!」
 孫子がさらに前のめりになってきて、香也はさらに背をそらす。
「香也様も、がんばっていますっ!」
 ここぞとばかりに力説する孫子。
 それはいいのだが、香也の方に体を倒しすぎた結果、ついに香也の方に倒れ込んでしまう。
「……きゃっ!」
 と短い悲鳴をあげながらも孫子は、とっさに香也をかばい、香也の体に腕を回して、脇にどける。これで少なくとも、香也を下にして倒れ込む……という自体は避けることになる。
 どさ、っと二人は並んで畳の上に倒れ込む。
 香也の体に孫子が抱きついている格好、になっていた。
「……んー……」
 密着している孫子の体の感触は、できるだけ意識しないようにしながら、香也はいった。
「ありがと」
 香也にも、孫子を下敷きにしかけた……ということ、それに、孫子がとっさに動いてそれを回避したことには、気づいている。
 倒れ方が、不自然だった。
 だとすれば……香也の上に身を投げだし、体重をかけることをよしとしなかった孫子が、無理に体勢を変えたに決まっている。それくらいは、香也にもすぐさま理解することができた。
「わたくしのせいで倒れたのですから……」
 孫子は、香也の胸に顔をつけた。
「……香也様が、お礼をいうことはないのに……。
 香也様は、いつもそうです。
 ご自分のことには無頓着なくせに、わたくしたちの心配ばかり……」
「……んー……」
 香也は、天井に視線を固定する。
「……そんなこと、ないと思うけど……」
 香也は、孫子が自分のことを過大評価している……と思っている。孫子だけに限ったことではなく、楓や荒野にもいえることだったが……。
「香也様が、そんなに無防備だから……」
 孫子は、寝そべっている香也の上に乗る。
「……わたくしたちも、やり甲斐があるのですけど……」
 さきほどの、「香也の護衛」うんぬんの続き、らしかった。
 孫子は、そのまま、寝そべった香也と向かい合うような形で、香也の上に乗る。
「……んー……」
 香也は、返答にこまる。
「心配するな」、ともいえないし、かといって「任せる!」、ともいえやしない。
「……香也様は、どうか……そのままで……」
 孫子は微笑みながら、香也の髪を自分の指で梳いた。
「わたくしたちは、好きでやっているだけですから……」
 香也は、孫子の体重をいきなり意識した。顔が至近距離にきているのは、まあいいとしても……スレンダーな孫子が自分の上で寝そべっていても、香也はあまり負担には感じない。孫子は、軽い。それよりも、気になるのは……。
『……いい、匂いが……』
 二人とも、風呂から上がったばかりであり、これだけ至近距離に密着しているとなると……香也の鼻腔に、孫子の香りが入ってくるのは、避けようもない。
「……あっ……」
 孫子は小さく声をあげ、続いて、意味ありげな笑みを浮かべて香也の顔を覗きこむ。より正確に記すのなら、孫子のほほえみが共犯者のものに変化した。
「香也様の……硬くなっていますわ……」
 孫子は香也の首に腕を回し、ぐいぐいと自分の体をおしつける。
「……お風呂でも……わたくしばかりが気持ちよくなって……香也様には、なにもできませんでしたものね……」
 孫子は、香也の耳元に口を寄せて囁いた。
「……これから……お待たせした分、ゆっくりとご奉仕をさせていただきますわ……」
 孫子は片手を香也のウェットの中に入れる。もう片方の手で、あらがおうとした香也の手を握って止め、孫子は有無をいわせず香也の口唇を奪った。
 逃れようとする香也と押さえ込もうとする孫子の間で静かなもみあいがあり、その間にも孫子は、舌を香也の口腔の中に割り込ませて、執拗に蹂躙した。香也の口の中で舌を暴れさせながら、孫子は香也のスウェットの中の硬くなった分身を、しっかりと握りこむ。香也のソコはしっかりと硬く、孫子の手の中で熱く、脈打っていた。
「……はぁ……」
 しばらくして、香也が完全に抵抗する意志を失ってぐったりしてから、孫子はようやく顔をあげた。
「そんなに、抵抗しなくても……。
 あの子……楓はよくて、わたくしでは駄目なのですか? 香也様のここは、しっかり反応していますけど……」
 そんなことをいいながら孫子は、香也の肌を掌でやさしく撫でさすりながら、香也の部屋着を脱がせていく。
「……プレハブでしたように、お口でした方がいいですかぁ? それとも、もう直接……挿れたいですかぁ?
 香也様のここも、窮屈そうに脈うってますけど……わたくしのも、もう……こんなに……」
 孫子は、香也の手を自分のはだけたスカートの中に導き、さらに下着の中にまで侵入させる。指先が孫子の陰毛をかきわける感触。そして、その陰毛は、あるラインからしっとりと水気を含んでいる。
 さらに香也の指先は進み、濡れた孫子の素肌……それも、ひときわ敏感な部分に触れる。
「……んんっ!」
 孫子が、小さく身震いした。
「……はぁ……。
 はしたない話し、ですけれども……プレハブでの……から……ずっと……わたしくしのここが……ヒクヒクしていて……」
 孫子は、自分の敏感な部分にあてた香也の指先を、上下に動かしはじめた。


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「髪長姫は最後に笑う。」 第六章(407)

第六章 「血と技」(407)

「茅や荒野が知らないだけで、荒神は他にもまだ別な動きをしているのかもしれないの」
 と、茅はつけくわえる。
「うーん……」
 荒野としては、うなるよりほかない。
 荒野にとって荒神とは、理不尽と気まぐれの塊……もっとぶっちゃくていってしまえば、災厄が人の姿をとって生きて歩いているような存在だった。
 そんな荒神が、一族の未来のことまでを考慮するほどの思慮を働かせるとも思わえないのだが……困ったことに、茅の推論も、それなりに筋道は通っていて、少なくとも積極的に反論したくなる材料はどこにもないのであった。
「まあ……茅がいうのなら、そういう可能性もあるんだろうなぁ……」
 荒野としては、そんな煮えきらない言い方をするより他、返答のしようがない。
「荒野は……荒神のことを、色眼鏡でみていると思うの。
 身近な人だから、かえって」
 茅は、荒野に、さらに追い打ちをかけてくる。
「小さなときから知っている大人だから、どうしてもそうなるのかもしれないけど……大人が、子供相手に自分のすべてをさらけ出すとも、思わないの」
 この茅の指摘は……これまた困ったことに、客観的にみて、反論のしようがないのだった。何しろ、荒野は荒神のことを、物心つくかつかないかという時期から、知っている。
 荒野が知っている荒神は……あくまで、荒神の一面にすぎない……という「理屈」は、荒野にしてもそれなりに理解はできるのだが……。
「荒野、お子さまなの」
 いつまでも煮えきらない荒野の態度みて、茅はそういって、こん、と頭をそらして自分の後頭部を荒野の胸板に押しつける。
「はいはい。
 おれはお子さまですよ、茅おねーさま……」
 荒野はのんびりした声でいって、茅の両脇に手をいれて、立ち上がる。
「……さて。そろそろあがろう。
 長湯もいい加減にしないと、のぼせちゃう……」
 荒野は両手で茅を抱えたまま立ち上がり、浴槽の縁をまたいで浴室の外へと向かう。脱衣所への出口は、両手がふさがっている荒野に代わって、茅が開けた。
 荒野は用意していたバスタオルで茅の体を丁寧に拭ってから自分自身の体を拭きはじめる。毎日のように繰り返している作業なので、熟練を感じさせる手つきだった。茅は炊事洗濯などの家事については、決して荒野に手伝わようとはしなかったが、入浴時の世話については当初からなんお抵抗もせずに荒野に任せきっている。このあたりの茅がどのような基準で判断を下しているのか、荒野にはいまだに理解できていない。
 そうして風呂から上がったら、後は寝るだけだった。二人は下着もつけずにそのまま寝室に向かう。茅が甘えたい気分の夜には抱っこ(茅にいわせると、「お姫様抱っこ」)を要求されるが、その要求がなされたのは、今までに数えるほどしかない。二人が全裸で抱き合って眠るのは、幼い頃からの習慣で、茅が、人肌を直接感じながら眠ると熟睡できるから、という理由であった。
『……こうして、改めて考えてみると……』
 おれの私生活って、つくずく茅を中心に回っているんだよな……と、荒野は認識する。三島百合香に「しっかり尻に敷かれてやんの」と揶揄されても、ろくに反論する気にならないのは、荒野自身、そういう自覚がないでもないから、でもあった。
『まあ……明日は、期末試験、三日目……』
 最近、細かいイベントはいろいろあるものの、それらは「トラブル」と呼ぶほどでもない、ごくごく小規模な波乱だった。三学期もあとわずかを残すことになった荒野の学生生活は、これまでのところ、それなりに平穏に過ごすことが出来ている、といっていい。
『……こういう状態が、いつまでも続くといいんだけど……』
 荒野は心の底からそんなこと思いつつ、その夜も眠りにおちる。

 翌日も、荒野とかや前二日と同じようなスケジュールで動いたので詳細については割愛する。前二日と違っていたのは試験が行われた科目と、夕方、沙織が帰宅してからの時間の使い方、くらいのものだったから、詳細を描写しても繰り返しになって退屈な読み物にしかならない。
 前までと違っていたのは、夕食後、静流が荒野たちのマンションを訪ねてきたこと、くらいのものだった。
 挨拶もそこそに静流を室内に招きいれた荒野は、静流が用件を切り出す前に、。
「連絡してくだされば、こちらか出向いたのですが……」
 と、切り出した。
「い、いえ……」
 静流は例によって紅茶をいれてきた茅に軽く頭をさげんがら、いう。
「こ、今回は、昨日のお礼と……それに、茅様も含めて、お話ししておきたいことがありまして……」
 静流はそう前置きしたあと、早速、用件を切り出す。
「……う、うちの者たち……野呂系の術者たちが、か、加納様の捜索に、て、手を貸してくださるそうです……」
 静流の話しを要約するすると、昨夜の成り行きから結束を固くした野呂系の術者たちの間から、誰からともなくそういう話しが出てきた、という。
「……な、何のあてもなく、いつまでも待ち続けるのも、つ、つまらないと……みなさんが……」
 例の……荒野たちが「悪餓鬼」たちと誇称している、未知の勢力について……だった。
「も、もともと野呂の者は……そういう探索や調査は、得意な方ですから……」
 他の案件で稼働している術者にも声をかけて、かなり広い範囲で虱潰しで調査をしてくれる、という。もちろん、本来の仕事のついでに……とおうパターンが多いということは、容易に察しがつくわけだが……それでもかなり大きな人数が、捜索に参加してくれる……ということは、動くに動けなかったこれまでと比較すれば、かなりの前進だった。例え、断片的な情報であっても、集まればそれなりに見えてくる構図があり……この手の不確定な要素が多い創作は、人手が多ければ多いほど、有利に働く。
 荒野にしてみれば、願ったりかなったりの申し出であった。
 茅が早速別室に下がり、すぐに現象が学校に襲撃した際の、二人の共犯者の似顔絵を手にして戻ってくる。これは、加齢予想図も含めてかなりの種類を用意してあったので、それなりに分厚い紙の束になっていた。茅は、それを封筒にいれて静流に渡した。
「……あと……」
 荒野は、捜索対象を、さらに指定する。
「……新種たちの計画に携わった関係者、あるいは、関係していた可能性がある者について、これまでの来歴や現在の居場所まで、できるだけ細かい情報を、洗いざらい調べてきてくださると……非常に、ありがたいです」


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